Sweetlore世界のお菓子図鑑(234)

コカーダ
Cocada
ココナッツの繊維を糖で結ぶ菓子
砂糖菓子 / ブラジル・中南米各地

ココナッツの繊維を糖液でつなぎ、外だけ固めて内側に湿りを残すもの。卵を加えて炉で焼き、クリーミーにすくうもの。コカーダという名は、中南米の各地で違う食感を指します。白砂糖か褐色の含蜜糖か、果肉を中へ入れるか外へまぶすかによっても、一口の構造は変わります。
糖液を先に煮て、果肉を加える
ブラジルの白いコカーダの一つは、生のココナッツを粗くすりおろし、砂糖と水のシロップへ加えて煮るものです。まず糖液だけを加熱し、すくい上げた滴の間に細い糸ができる程度まで煮詰めます。それから果肉を加え、シロップをからめながら短く煮ます。
この段階では、まだ十分に湿った状態です。少し休ませ、二本のスプーンで楕円や小山に取り分けて、室温で乾かします。外側が固くなっても、内部には湿った繊維が残ります。鍋の中で全体を固い飴にするのではなく、煮詰めと成形後の乾燥を組み合わせた菓子です。
糖液は、果肉を入れる前には混ぜずに煮る方法があります。果肉を加えた後も、からめる以上に混ぜすぎると、砂糖が結晶化してざらつきやすくなります。果肉の太さ、糖液の濃度、火を止める時点が、粒がまとまる力と、中心の湿り気を変えます。
黒い糖、乳の風味、焼いて固める卵
白砂糖のほか、ラパドゥーラと呼ぶ含蜜糖で果肉をまとめる作り方があります。バイーアの販売台には、白いコカーダと黒いコカーダが並びます。乳や練乳を加えると、果肉を結ぶ部分に乳の風味が重なります。パッションフルーツやパイナップルを加える変奏もあります。
コカーダ・デ・フォルノは、炉で焼く型です。ココナッツ、砂糖に卵とバターなどを合わせ、浅い耐熱器で焼くと、上面は香ばしい薄皮となり、中心はクリーミーに残ります。鍋で煮て取り分ける型に対し、卵を含む生地を器の中で固める仕立てです。冷まして切り分けたり、器からすくったりして食べます。
街の販売台に並ぶ白と黒
バイーアのバイアーナが布と装身具をまとって料理や菓子を売る仕事は、アフリカ系ブラジル人女性の食文化と結びつきます。文化機関の展示にも、白砂糖のコカーダと黒いラパドゥーラのものが、同じ販売台へ並びます。ブラジルの文化遺産として保護される正式な対象は「アカラジェを売るバイアーナの職業」であり、一菓子の起源でなく、作って街で手渡す仕事全体です。
海の反対側のペルーでも、コカーダは街の菓子として売られてきました。一八九六年のリカルド・パルマの語釈には「ココで作る甘味」とあり、少なくとも十九世紀末にはその名が使われていました。ブラジルから伝わった時期や経路までは分かりません。
ペルーの鍋と炉、チリの球と焼菓子
ペルーのリマでは、ココナッツの菓子を鍋で煮て、柔らかいまま小さな器で売る型があります。一方、料理家テレサ・オカンポの焼き型は、ココナッツ水と糖を煮て果肉を加え、卵黄、炒りごま、ポートワイン、バターを合わせてから、炉で上面だけを軽く色づけます。鍋だけで終える型と、煮た後に焼き色を付ける型では、表面の香りと中身の湿りの出方が異なります。
メキシコでは、すりおろしたり細かくしたココナッツを砂糖やピロンシージョと煮ます。沿岸から内陸まで、形、硬さ、追加する材料には地域差があります。
チリの名はメレンゲとココナッツの焼き菓子にも、砕いたビスケットとマンハール・ブランコを混ぜてココナッツをまぶす球にも使われます。果肉を糖液でつなぐのと、外へ付けるのとでは、同じ白さの中身も別のものです。
ベネズエラでは、ココナッツの水や果肉に砂糖を加えた冷たい飲み物もコカーダです。一つの語の広がりは、糖と果肉を煮固める菓子の範囲を越えています。
用語解説
- ラパドゥーラ
- サトウキビの汁を煮詰めて固めた、ブラジルなどの含蜜糖。
- ピロンシージョ
- メキシコで使われるサトウキビの含蜜糖。コカーダの甘味料の一つです。
- バイアーナ
- バイーアの女性。伝統的な装いで料理を販売する女性たちは、コカーダも扱う。
- アカラジェ
- 豆を主とする生地をパーム油で揚げた、バイーアの料理。販売台にはコカーダなども並びます。
- コカーダ・デ・フォルノ
- 炉で焼くコカーダ。卵やバターを含む仕立てがあります。
- マンハール・ブランコ
- チリで用いる、乳と糖を煮詰めた甘いペースト。球状菓子のつなぎに使います。
- リカルド・パルマ
- ペルーの文筆家。一八九六年の語釈にコカーダの名を記しました。







