Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

バルカイマク
Balkaimak
蜂蜜と乳を、穏やかな熱でまとめる甘味
デザート / カザフスタン

バルカイマク(балқаймақ、Balkaimak、Balqaimaq)は、カザフスタンの乳を使った甘味である。よく知られるのは、濃いクリームに蜂蜜や砂糖を加え、少量の小麦粉とともに温めて、とろりと仕上げる形式だ。バルカイマクは器に盛り、揚げパンのバウルサクをつけたり、茶の食卓へ添えたりして食べられる。
名前は、バル(бал)が蜂蜜、カイマク(қаймақ)が乳のクリームを意味する組合せである。ただし、この名を持つ食品が、常に蜂蜜入りのクリーム1種類だけを指すわけではない。乳を濃縮した甘い食品にも用いられ、材料や固さには幅がある。
クリームと粉を穏やかに温める
クリームを使うバルカイマクは、乳の濃厚さを保ちながら、なめらかにまとまった状態に仕上げる。材料を鍋に入れ、弱い火で加熱する。蜂蜜または砂糖を加え、小麦粉を少しずつ振り入れながら混ぜる形式では、全体を均一に温め、とろみをつけていく。
この形式では、乳が配合の大半を占め、粉は少量にとどまる。たとえば、クリーム900グラムに小麦粉50グラム、蜂蜜100グラムを使い、約10分混ぜながら温める作り方がある。小麦粉の量はクリーム重量に対して約5.6%であり、この一例では、粉より乳の量がはるかに多い。
同じルセット(材料の配合と作り方)では、先に粉を薄い金色になるまで軽く炒り、それからクリームと蜂蜜を混ぜる。別の作り方では、クリームを先に静かに煮立て、甘味と粉を加える。前者は粉を炒る工程を持ち、後者は乳を温めながら粉をなじませる。どちらにも加熱の工程があり、粉を先に炒るか、温めた乳へ後から加えるかという違いがある。
甘味を加えてからも穏やかな加熱と攪拌を続け、温かいまま、または少し冷まして供する。砂糖を高温の飴にして固める菓子とは、仕上がりの目標も違う。
ラクダ乳を煮詰める形式
2005年刊のカザフ語地域語辞典は、トルクメニスタンとカザフスタンのマンギスタウ、パヴロダルなどで、ラクダ乳を煮詰めて輪形に干すものをこの名で呼ぶと記す。一方、ロシアのチュメニで採集された語義は、乳に粉と砂糖を加えて煮る食品である。この名で呼ばれる食品には、柔らかな乳の甘味から乾燥させるものまで幅がある。現在のクリーム仕立てはその1つの形式であり、同じ名の乾燥食品とは材料の加工も食べる状態も違う。
夏の乳と、客を迎える食卓
バルカイマクは、夏の放牧地で集まるクリームを使い、客を迎える食べ物として語られる。乳の豊かな時季、蜂蜜や糖を合わせた濃い甘味を用意することは、乳をそのまま飲むのとは違うもてなしになる。現代にも、バウルサクとバルカイマクを一緒に食べる習慣がある。
食卓での役目は、独立したデザート皿に限られない。柔らかなものはバウルサクに添えて茶の食卓へ出せる。ラクダ乳を輪形にして干すものは保存する食品となり、乳を加熱して甘味にする点は共通しても、作る目的と食べる時期が異なる。
用語解説
- バル(бал)
- カザフ語で蜂蜜。
- カイマク(қаймақ)
- 乳のクリームを指す語。地域や製品によって性状が異なる。
- バウルサク
- 小さく成形して揚げるカザフの粉食品。バルカイマクを添えることがある。
- ルセット
- 材料の配合と作り方をまとめたもの。







