Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ラプシ
Lapsi
砕いた粒を炒めてから炊く
デザート / インド・グジャラート、ラージャスターン

ラプシは、小麦をギーと糖で甘く調理するインドの菓子です。グジャラートやラージャスターンで親しまれ、砕いた小麦を使うものはファーダ・ラプシ(Fada lapsi)と呼ばれます。砕いた小麦は柔らかく煮えても粒の形が残り、滑らかな粉のハルワとは違うかみ心地があります。

砕いた粒を炒めてから炊く
ファーダは、小麦を細かく砕いたものです。ラプシでは、その粒をまずギーで炒めます。次に水などの液体を加え、芯が残らないように火を通します。甘味には砂糖もジャガリーも使われ、カルダモン、ナッツ、ココナッツなどを加える例があります。

乾燥した砕き小麦。撮影:Sanjay Acharya、2006年。原画像を使用(出典・CC BY-SA 3.0)。

インド・パンジャーブの市場に並ぶサトウキビのジャガリー。撮影:Giridhar Appaji Nag Y、2007年。原画像を使用(出典・CC BY 2.0)。
鍋でゆっくり炊く方法のほか、圧力鍋を用いる作り方もあります。料理家レヌ・ダラルのルセットでは、ギーで炒めた小麦にジャガリーと香辛料、水を合わせて加圧します。一方、小麦を先に柔らかくしてから甘味を加える作り方もあり、加える順番は1通りではありません。
粒の大きさと液体の量によって、さらりとほぐれる仕上がりにも、匙ですくうとまとまる仕上がりにもなります。粉の菓子のように均一な生地を作るのではなく、小麦の粒に火と甘味を行き渡らせます。
粉のラプシと、粒のラプシ
ラプシという名は、粗い小麦粉で作るカンサールにも使われます。サウラーシュトラの家庭の記録では、粉のものをラプシまたはカンサール、砕いた粒のものをファーダ・ラプシと区別しています。
砕いた小麦をギーで炒めてから水で炊くファーダ・ラプシは、炊き上がっても粒が一つひとつ残ります。粗い粉を蒸してほぐすカンサールの例とは、仕上がりの粒の姿が異なります。
小麦で祝う食卓
ラプシは婚礼、誕生、新居など、家族の節目に作られる甘味です。グジャラートでは、カンサールやシーラと並んで、祝いに用いる小麦の料理に数えられます。ラージャスターンの家庭には、ジャガリーを水に溶かしてこし、炒めた小麦へ加える作り方があります。祝いの日にはまず家の神に供え、その後、温かいうちに家族や客へ分けます。
晴れの日だけの食べ物ではありません。インドールで祖母の家を訪ねた夏の思い出を綴る料理学校の記録には、朝食にラプシを食べた話が載っています。ナッツを多めに飾れば、普段の一皿が祝いの菓子にもなります。アーメダバードの児童施設でも、砕き小麦とジャガリーを使うファーダ・ラプシが献立に登場します。
用語解説
- ファーダ
- 砕いた小麦の粒。ダリアと呼ばれる食材と重なる名称。
- ギー
- 水分や乳の固形分を除いて得る乳脂肪。
- ジャガリー
- サトウキビやヤシ類の樹液を煮詰めた糖の総称。
- レヌ・ダラル
- インドの料理家。ここでは圧力鍋を使うラプシの個別ルセットを参照。







