Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

バルシャヒ
Balushahi
こねすぎずに、まとめる
揚げ菓子 / インド・北インド、ビハール

バルシャヒ(Balushahi)は、油脂を混ぜた小麦の生地を揚げ、糖蜜を含ませる菓子です。中央にくぼみのある丸い姿で、表面は糖の薄い衣に覆われ、内側には細かな割れや層があります。北インドから周辺地域へ広く分布し、南インドではバドゥシャーという名でも親しまれています。

西ベンガル州ジャルパイグリの家庭で作ったバルシャヒ。撮影:Bedatroyee Routh、2021年。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし(出典・CC BY-SA 4.0)。
こねすぎずに、まとめる
生地には精製小麦粉のマイダー、ギー、ヨーグルトなどを用います。膨張剤を加える作り方もあります。油脂と粉を合わせ、必要な水分でひとまとめにしますが、パンのように弾力が出るまで強くこねることは避けます。
滑らかに延びるまでこねるのではなく、揚げた時に細かな層や割れができる生地に仕上げます。ヨーグルトの水分量も仕込みごとに違うため、加える水は粉の状態を見ながら調整します。丸めて中央をくぼませるほか、縁をひだ状に整える姿もあります。

内側まで揚げてから、蜜へ
厚みのある生地は、外側を急いで濃く色付けると、中心へ十分に火が入りません。穏やかな火で揚げ、内側の層まで仕上げてから、温かい糖蜜へ移します。糖蜜にはカルダモンやサフランを加えることがあります。
揚げる工程でできた割れへ蜜が入り、表面には糖の衣が残ります。揚げた生地に後から蜜を含ませますが、その前の生地作りも蜜のしみ込み方を左右します。糖の硬い殻と、内部に残る柔らかさは、別々の工程から生まれます。
ドーナツに似た形、異なる中身
中央のくぼみと丸い姿はドーナツを思わせます。しかし、イーストで大きく膨らませる生地とは違い、バルシャヒは油脂を含んだ密度のある層と、糖蜜のしみた内側を味わいます。似た形でも、生地の膨らませ方と甘味を加える段階が異なります。
土地ごとのバルシャヒ
ビハールではルニ・サイードプルも産地として知られます。祭りや祝いに買う菓子であり、町の名と結び付いた菓子店の商品でもあります。北部と南部では名称のほか、糖のまとわせ方や食感にも幅があり、1つの固さに限定することはできません。

ルニ・サイードプルのバルシャヒについて、ビハール州観光局は、乳を酸で固めて水分を切ったチェナと小麦粉、セモリナを合わせ、糖蜜を含ませる菓子として紹介しています。粉とギーを主体にした一般的な生地とは材料が異なり、同じ名前の菓子にも土地に結び付いた作り方があります。
用語解説
- マイダー
- インドなどで用いられる精製小麦粉の呼称。
- ギー
- 水分や乳の固形分を除いた乳脂肪。
- バドゥシャー
- 南インドで使われる、この系統の菓子の呼称。







