Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ラウン・ラティカ
Laung latika
クローブは香辛料であり、留め具でもある
揚げ菓子 / インド・ビハール、ベンガル

ラウン・ラティカは、甘い乳の餡を包んだ小さな揚げ菓子です。包みの中央を1本のクローブで留める姿に特徴があり、ベンガルではロボンゴ・ロティカ(Lobongo lotika)、北インドではラウン・ラターなど、呼び方にも違いがあります。ビハール、東部ウッタル・プラデーシュ、ベンガルなどで親しまれます。

折り重ねた皮をクローブで留めたロボンゴ・ロティカ(2017年、Mmrsafy/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし。
クローブは香辛料であり、留め具でもある
小麦の皮へ餡を置き、左右を折り、残りの辺も重ねて小包のように閉じます。中央の重なった部分へクローブを刺せば、油の中で皮が開くのを防げます。クローブは粉にして生地全体へ混ぜるのではなく、形を保ったまま、成形の一部になります。
ラウン、ロボンゴはいずれもクローブにつながる呼称です。包みを留めるクローブは、菓子を見分ける目印にもなっています。
皮と餡、蜜を別に作る
皮には、精製小麦粉のマイダーへギーをすり混ぜ、水を加えてまとめた生地を使います。具は、乳を煮詰めたコーヤーを中心に、砂糖、ナッツ、カルダモンなどを合わせます。ココナッツやレーズンを用いるものもあります。


器に入ったマーワー(コーヤー)。撮影:Miansari66、撮影年・場所不明。Commonsに掲載されたHohumによる明度調整版を使用(出典・パブリックドメイン)。
皮を薄く延ばして包んだ後、油脂で揚げ、最後に糖蜜へ入れます。皮そのものへ糖を多く練り込む代わりに、揚げた層へ後から甘味を付ける作り方です。折り重なった部分と、餡を覆う薄い部分では厚さが違うため、中まで火を通しながら表面を仕上げます。
半月形の菓子とは違う、折り方
カランジなども甘い具を皮で包んで揚げますが、ラウン・ラティカは、生地を折り重ねて中央を留める構造です。袋状に閉じた皮の縁をひだにする方法とは異なり、折った層が中央へ集まります。
糖蜜を含んだ皮、濃い乳の餡、クローブの香りが組み合わさり、小さな菓子を口にすると、それぞれの部分が順に感じられます。ビハールでは、ラウン・ラターの名で菓子店にも並びます。ベンガル語で家庭の作り方を紹介するチャンダ・グハは、ドゥルガー・プージャーの時期に母や祖母がこの菓子を作っていたと記しています。彼女の家では、煮詰めた乳とココナッツを合わせた餡を包み、揚げてから糖蜜に含ませます。
用語解説
- クローブ
- チョウジの花のつぼみを乾燥した香辛料。強い香りと釘のような形を持ちます。
- マイダー
- インドなどで用いる精製小麦粉の呼称。
- ギー
- 水分や乳の固形分を除いた乳脂肪。
- コーヤー
- 乳を煮詰めて得る乳固形分。マーワーとも呼ばれます。
- チャンダ・グハ
- ベンガル語で家庭の菓子作りと家族の記憶を紹介する人物。







