Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

くるみのムラッバ
Walnut murabba
くるみのムラッバの材料と製法
砂糖菓子 / アゼルバイジャン・アルメニアなど

くるみのムラッバ(Walnut murabba)は、殻が硬くなる前の若いくるみを、砂糖のシロップで煮た保存菓子です。濃い色の実を丸ごと口に運ぶと、乾燥したくるみとは違う食感と甘さがあります。アルメニアやその周辺で作られるムラッバの一つです。
若い実を丸ごと甘くする
若い実は外側をむいて水に浸し、何度も水を替えながら下ごしらえします。あるアルメニアの家庭の作り方では、実が黒くなるまで水に置き、さらに石灰水に浸した後、よく洗って穴を開けます。砂糖とカルダモン、シナモン、クローブでシロップを作り、実を加えて繰り返し煮ます。石灰水を使わず、水を替える工程を長く取る例もあり、前処理は一通りではありません。

収穫の時季を待つ作り手

レバノンのアンジャルでアルメニア系の作り手マデリン・ネルシシアン・シュヘルデミアンさんを訪ねた2014年の記録には、針で実の硬さを確かめて収穫し、皮をむいて水に浸し、毎日水を替えて苦みを抜く仕事が記されています。その後、砂糖とともに何度か煮て甘さを含ませます。殻がまだ硬くならない短い時季に、実を選んで収穫します。この2014年の取材では、寒い冬が収穫に影響し、出来上がる量も少なかったといいます。
アルメニアの首都エレバンの収穫祭では、農村の家族による協同組合が、くるみの保存菓子を果実のシロップなどと一緒に並べたこともあります。
ムラッバは果物や木の実を甘く煮る保存菓子の広い呼び名です。くるみのほか、かりんやあんずなどを使うものもあります。若いくるみの形を残すこの菓子は、果実をつぶして塗るジャムとは違い、形の残った実とシロップを一緒に味わいます。

用語解説
- ムラッバ
- 果物や木の実を砂糖などと煮て作る保存菓子。
- カルダモン
- 種子のさわやかな香りを用いる香辛料。
- クローブ
- 花のつぼみを乾燥させた香辛料。
- マデリン・ネルシシアン・シュヘルデミアン
- レバノンのアンジャルで、若いくるみの保存菓子を作る人物。







