Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

タムリーヤ
Tamriyeh
薄い皮と柔らかな餡
揚げ菓子 / パレスチナ、ナーブルス

薄い皮を割ると、温かいセモリナの餡が現れます。タムリーヤはパレスチナのナーブルスで親しまれる揚げ菓子です。揚げたてに粉糖をかけ、朝の食卓や菓子店で味わいます。

薄い皮と柔らかな餡
セモリナを砂糖と水で炊き、とろみがついたら広げて冷まします。固まった餡を切り分け、薄く伸ばした小麦の生地に包んで油で揚げると、表面は軽く、中はしっとりと仕上がります。オレンジの花の水で餡を香らせる家庭もあります。

粉を炊いて先に形を整えておくと、薄い皮で包みやすくなります。揚げた後に振る粉糖は、皮の香ばしさに軽い甘さを添えます。レバントには同じ名の菓子が複数あり、シリアのホムスでは乳のクリームやデーツを使う例もあります。
家庭の作り手マハ・サラーは、祖母が春巻きの皮を使って手早く作っていた思い出を記しています。手作りの皮は粉と水を練って休ませ、破れないよう薄く伸ばします。春巻きの皮を使うとより軽くぱりっとし、手作りの皮には別の厚みが残るといいます。金曜日の朝、家族が集まって味わう菓子としても語られています。
2017年の現地取材では、ナーブルスの市場で菓子を作るトウフィーク・アスカランが、注文を受けてから揚げる様子が紹介されています。金曜の朝食や結婚の祝いに向けて、家族がまとめて注文することもあるそうです。別の2022年の取材でも、彼は寒い季節に需要が増えると語っています。
「タムル」はアラビア語でナツメヤシの実を指しますが、ナーブルス式の餡にその実は入りません。同じタムリーヤの名で、デーツの餡を焼き込む菓子もあるため、名前だけで中身を決められないのです。
ナーブルスの名物として知られますが、正確な発祥地や名前の由来には異説があります。薄い皮と乳の餡を組み合わせるズヌード・エル・シットと比べると、餡と仕上げに違いがあります。
用語解説
- マハ・サラー
- 家庭のタムリーヤと祖母の思い出を紹介する作り手。
- トウフィーク・アスカラン
- ナーブルスの市場の菓子職人。
- デーツ
- ナツメヤシの実。
- セモリナ
- 硬質小麦を粗く挽いた粒状の粉。
- オレンジの花の水
- オレンジの花を蒸留して香りを移した芳香水。







