Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

アニス・ド・フラヴィニー
Anis de Flavigny
アニス・ド・フラヴィニーの材料と製法
砂糖菓子 / フランス・フラヴィニー・シュル・オズラン

アニス・ド・フラヴィニー(Anis de Flavigny)は、フランスのブルゴーニュ地方、フラヴィニー・シュル・オズランで作られる小さな糖衣菓子です。白い粒の中心には、アニスの種が一粒入っています。舐めて砂糖の層が薄くなっていくと、中に隠れていた種の香りが現れます。
種から育つ糖衣
芯にするのは、グリーンアニスと呼ばれるセリ科の植物の果実です。製造元は、収穫した小さな粒を大きな鍋に入れ、転がしながら砂糖のシロップを少しずつかけます。薄い糖衣が重なり、粒が転がるうちに表面もなめらかになります。約2ミリグラムの芯が約1グラムの菓子になるまで、職人は15日ほどかけます。

このように、芯の周りに糖衣を重ねるのがドラジェ製法です。アーモンドを芯にしたドラジェもありますが、ここでは香りの強い小さな種を使います。口に入れるとまず砂糖の甘さが広がり、舐め進めて芯にたどり着くとアニスが香ります。
同じ芯、異なる香り
どの味にもアニスの種が入りますが、砂糖の層の香りは一つではありません。バラ、スミレ、ミント、カシス、レモンなどがあり、製造元は植物の香りを蒸留や抽出によって取り出すと説明しています。ミントでは葉に水蒸気を通し、冷やして香りの成分を集めます。バラ味でも芯はアニスです。外側の花の香りと、後から現れる種の味を一粒で楽しめます。
製造元は、芯に使うグリーンアニスと、アニス味の香りづけに使うスターアニスを別に紹介しています。似た名前でも別の植物で、アニス味では芯の粒と糖衣に加える香りをそれぞれ別の材料から得ています。通常の製品にはてんさい糖、有機のシリーズには未精製のきび砂糖を使うといい、後者は淡い琥珀色になります。
修道院から旅のお供へ
製造の場所は、フラヴィニーの旧サン・ピエール修道院です。

修道士が種を砂糖で包み始めたという話が伝わりますが、修道院の創建年がそのまま飴の発明年を示すわけではありません。製造元の沿革は、1591年に近隣のスミュール=アン=オーソワの町が賓客にアニスを贈ったと紹介します。当時贈られた品が、現在の砂糖菓子と同じものだったかは分かりません。
革命後には村の菓子職人が製造を続け、製造元の説明では1814年に8人がいました。多くは旧修道院の中で作り、1896年には複数の工房が一つにまとめられました。1923年に工場を引き継いだジャン・トルバは、駅や地下鉄の自動販売機、百貨店などにも販路を広げます。
包装も販売の場とともに変わりました。

初期には細長い紙箱が使われ、1950年代には自動販売機から落ちても耐える金属缶に変わりました。丸い缶を経て、今日よく知られる楕円形になったと製造元は語ります。羊飼いの男女を描く缶には、二人が近づいたり、菓子を差し出したりするさまざまな場面があります。ポケットに収まる容器を開けると、村で長く作られてきた一粒を旅先でも味わえます。
用語解説
- グリーンアニス
- セリ科の香草。菓子の芯には香りのある果実を使う。
- スターアニス
- 八角とも呼ぶ、グリーンアニスとは別の植物。アニス味の香りづけに使う例がある。
- ドラジェ製法
- 種やナッツなどの芯を回転させ、砂糖の層を少しずつ重ねる技法。
- ジャン・トルバ
- 1923年にフラヴィニーの工場を引き継いだ製造者。







