Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

プディン・アバーデ・デ・プリスコス
Pudim Abade de Priscos
プディン・アバーデ・デ・プリスコスの材料と製法
デザート / ポルトガル、ブラガ

プディン・アバーデ・デ・プリスコス(Pudim Abade de Priscos)は、ポルトガル北部ブラガの、卵黄をたっぷり使うプディングです。カラメルを塗った型で湯煎にかけ、ポートワインとレモン、シナモンで香りをつけます。材料の中でも目を引くのは、豚の脂身トウシーニョです。


脂身と香辛料を煮たシロップを卵黄に合わせる
料理人エンリケ・サ・ペソアの一例では、水と砂糖にシナモン、レモンの皮、トウシーニョを加えて煮ます。脂身と香りづけの材料を取り除いたシロップを、ポートワインを混ぜた卵黄に少しずつ合わせます。熱いシロップを少しずつ加えるのは、卵黄を急に固めず合わせるためでもあります。卵黄は泡を入れすぎないように混ぜ、カラメルを敷いた型に流して湯煎で火を通します。卵黄が固まってなめらかな口当たりを作り、砂糖のシロップとワインが甘さと香りを加えます。

サ・ペソアの作り方では、脂身そのものをこして取り除くため、出来上がりに肉片は残りません。トウシーニョをシロップで煮るという工程が、卵と砂糖を中心にしたほかのプディングと異なります。ポルトガルの料理研究家ヴィルジリオ・ノゲイロ・ゴメスは、この脂身の役割を肉の味を強くつけることではなく、脂肪によって独特の口当たりを生むことだと説明しています。使う脂身やワイン、火の通し方は、作り手のルセット(材料の配合と作り方)によって違います。
「プリスコスの司祭」にちなむ名前
名の「プリスコスの司祭」は、19世紀にブラガ近郊プリスコスで長く務めたマヌエル・ジョアキン・レベロを指します。料理に長けた司祭がこの菓子を作ったと伝わり、今もブラガを代表するプディングの一つとして親しまれています。ゴメスは、19世紀末に作られたとされるこの菓子のレシピを、1925年刊の料理書に見いだしたと記しています。この出版例は、菓子が生まれた年を示すものではありません。
用語解説
- エンリケ・サ・ペソア
- ポルトガルの料理人。この菓子の作り方を紹介している。
- ヴィルジリオ・ノゲイロ・ゴメス
- ポルトガルの料理研究家。脂身の役割や古い出版例を紹介している。
- トウシーニョ
- 豚の脂身。プディングでは砂糖のシロップとともに煮る。
- ポートワイン
- ポルトガルのドウロ地方のぶどうから造る酒精強化ワイン。
- マヌエル・ジョアキン・レベロ
- 19世紀にプリスコスで務めた司祭。このプディングの名に結びつく人物。
- ルセット
- 材料の配合と作り方。







