Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

パパラホテス
Paparajotes
パパラホテスの材料と製法
揚げ菓子 / スペイン、ムルシア

パパラホテス(Paparajotes)は、スペイン南東部ムルシアの揚げ菓子です。レモンの葉に衣をまとわせて揚げ、砂糖とシナモンを振ります。葉が衣に香りを移しますが、食べるのは周りの衣だけです。葉は食べずに残します。


レモンの葉に衣を付けて揚げる
ムルシアの大学が紹介する作り方では、卵、牛乳、小麦粉などを合わせて衣を作ります。洗って水気を拭いたレモンの葉の両面に衣をつけ、オリーブ油で揚げます。熱い油の中で衣が膨らみ、表面が色づきます。仕上げの砂糖とシナモンの甘い香りに、葉から移る柑橘の香りが重なります。
スペイン政府観光局の作り方では、卵黄を牛乳と水に混ぜ、小麦粉とレモンの皮、シナモンを加え、泡立てた卵白を合わせて休ませます。そこへ葉をくぐらせて揚げ、油を切ってから砂糖とシナモンを振ります。葉だけでなく、すりおろしたレモンの皮で衣にも香りを添える一例です。
揚げ上がりは大きな葉の形をしています。葉の軸をつまみ、衣を歯でそっとはがして食べます。葉は衣を支え、揚げる間に香りを移す役目を果たします。

ウエルタの家庭から春祭りへ
ムルシアの果樹や野菜を育てる農地は「ウエルタ」と呼ばれます。パパラホテスは、その土地の家庭で小麦粉、卵、牛乳などとレモンの木の葉を使って作られてきた菓子として語られます。葉は、料理に使えるよう適切に管理された、きれいなものを選びます。
春祭りの中心行事「バンド・デ・ラ・ウエルタ」の時期には、町の広場や庭園に地域の人々が「バラカ」と呼ぶ飲食の場を設け、土地の料理を供します。パパラホテスもその一つです。聖ヨセフの日にも食べられますが、季節を限らず作れる菓子です。
ムルシア州観光機関は、1896年の新聞にこの名が現れ、1919年刊の地方語彙集にも小麦粉、牛乳、砂糖、卵を使う揚げ菓子として載ったと紹介しています。アンダルス料理やセファルディの菓子とのつながりを語る説もありますが、現在の葉を使う菓子がどのように生まれたかは明らかではありません。
用語解説
- 衣
- 材料の周りにつけて揚げる生地。パパラホテスではレモンの葉を包む。
- ウエルタ
- 果樹や野菜を育てる農地。ムルシアの地域の暮らしと深く結びつく。
- 聖ヨセフの日
- キリスト教で聖ヨセフを記念する日。スペインでは3月19日。







