Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ヴェルフェンシュパイゼ
Welfenspeise
ヴェルフェンシュパイゼの材料と製法
デザート / ドイツ、ハノーファー周辺

ヴェルフェンシュパイゼ(Welfenspeise)は、ドイツのハノーファーで知られる二色のデザートです。白いバニラ風味のミルククリームを冷やし、黄色いワインの泡を重ねます。透明なグラスに入れると、白と黄の境目が見えます。
白い乳の層と黄色い泡
ハノーファー市が紹介する作り方では、牛乳に砂糖、バニラ、でんぷんを加えて煮、泡立てた卵白を熱いクリームに混ぜます。でんぷんが牛乳にとろみを付け、卵白の泡が軽さを加えます。これをグラスに分けて冷まします。



上の層は白ワインと卵黄、レモンの果汁や皮、少量のでんぷんを湯煎にかけながら泡立てます。卵黄でとろみを付けた、空気を含むワインの泡を白い層に載せて冷やします。卵白と卵黄を別々に使うことで、色だけでなく、乳のまろやかさとワイン、レモンの香りが対照になります。市の作り方では、最後にチョコレート片やアーモンド、ピスタチオを飾ることも勧めています。
料理書に残る作り方
ニーダーザクセンの食文化資料は、1949年刊の『ブレーメン料理書』に載った作り方を紹介しています。白い層は牛乳とバニラにでんぷんを加え、卵白の泡を混ぜてガラスの器に入れます。黄色い層は卵、白ワイン、砂糖、レモンにゼラチンを加え、湯煎でとろみがつくまで泡立てて重ねます。今日の市の紹介と同じ二色でも、黄色い層をまとめる材料には違いがあります。
同じ資料には、1960年代の手書き料理帳に「ヴェルフのプディング」として記された例もあります。牛乳の層に多めの卵白を混ぜ、上には白ワインと砂糖、卵黄を泡立てたクリームを添える作り方です。乳と卵とワインの組み合わせは、家庭の料理帳にも書き留められていました。
白と黄の由来
名前のヴェルフは、かつてハノーファーを治めたヴェルフ家の名です。ハノーファー市は、この菓子の白と黄を、王国の旗と家の色に結びつけて紹介しています。ハノーファーの君主は1714年から1837年まで英国でも君主を兼ね、ハノーファー王国は1866年にプロイセンへ併合されました。
市の紹介には、ヴェルフ家の即位200年の祝宴に向けて料理人が考案したという話もあります。二色の名の由来を伝える説明ですが、誰がいつ作ったかを示す当時の献立や記録までは明らかにされていません。白と黄のデザートは、ハノーファーの家の歴史を思い起こさせる一皿として語られています。
用語解説
- 湯煎
- 容器を湯に当て、材料を穏やかに加熱する方法。
- ヴェルフ家
- ハノーファーの歴史に関わるヨーロッパの貴族の家系。







