Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

クルーティー・ダンプリング
Clootie dumpling
クルーティー・ダンプリングの材料と製法
デザート / イギリス・スコットランド

クルーティー・ダンプリング(Clootie dumpling)は、スコットランドで親しまれる、乾燥果実と香辛料を入れた布包みのプディングです。スコットランドの言葉で布を意味する「クルート」に名前が由来します。丸くゆで上げたプディングを切ると、濃い色の生地にレーズンなどが散っています。

布が作る丸い形と皮
アバディーン大学が収録した家庭の配合では、小麦粉、パンくず、スエット、砂糖、香辛料に、すりおろしたりんごと乾燥果実を混ぜます。牛乳と糖蜜を加えて生地にし、熱湯に通して粉を振った布に包みます。加熱中にふくらむ余地を残して布を結び、鍋で火を通すと、丸い形に仕上がります。
布から出したプディングには薄い皮ができます。粉を振った布でゆでた菓子ならではの外側です。冷まして切り分けても、温めてカスタードと合わせても楽しめます。翌朝、残った一切れをバターで焼いて食べる例もあります。

祝いの日と土曜日のおやつ
スコットランド語辞典には、誕生日にケーキの代わりとしてクルーティー・ダンプリングを作り、中に銀貨を入れたという人の回想が収められています。作家メアリー・イーソンも、幼い頃、母が誕生日や新年に作り、入っていた銀貨を見つけた人は幸運に恵まれるとされたことを語っています。
一方、辞典が引く別の回想では、母がレーズン、にんじん、糖蜜、粉や香辛料などを使い、土曜の夜の楽しみとして作っていました。誕生日の特別な一皿としても、毎週の家庭のおやつとしても、それぞれの記憶に残るプディングです。
家庭ごとに伝わる配合
配合は家庭によって変わり、果実や脂の選び方も一様ではありません。サセックス・ポンド・プディングにも布で包む古い例がありますが、クルーティー・ダンプリングは乾燥果実を生地全体に混ぜ込みます。
アバネシーでは、家族に伝わる作り方をもとにしたクルーティー・ダンプリングの店が、2018年に開かれました。家庭の祝い菓子は、地域の店でも作られています。

用語解説
- メアリー・イーソン
- スコットランドの作家。誕生日のプディングの思い出を語った。
- スエット
- 牛などの腎臓周辺の脂。英国のプディング生地に使われる。
- 糖蜜
- 砂糖の製造過程で生じる、色と香りの強い蜜。







