Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

カランジ
Karanji
中身を炒めてから、皮へ包む
揚げ菓子 / インド・マハーラーシュトラ、ゴア周辺

カランジ(Karanji)は、小麦の薄い皮でココナッツなどの甘い具を包み、半月形に揚げるマハーラーシュトラの菓子です。縁には指で寄せたひだや、押して付けた模様があります。皮を割ると、中には細かなココナッツ、ナッツ、ごまなどの具が入り、香辛料の香りが広がります。

半月形のカランジを含む菓子。撮影:Milindb05、2013年、撮影地不明。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし(出典・CC BY-SA 4.0)。
中身を炒めてから、皮へ包む
具には乾燥ココナッツ、生のココナッツ、砂糖、ジャガリーなど、家庭により違う材料が使われます。乾燥ココナッツを炒め、木の実やレーズン、ごま、カルダモン、ナツメグを合わせる作り方では、水気の少ない具を冷ましてから包みます。

ココナッツの細かさも、包みやすさに関わります。長い繊維や大きな木の実が残ると、薄い皮の中で出っ張りになります。具を細かく切り、挽いたり炒めたりして整えることが、薄い皮で包む作業にも関わります。
生地に油脂を混ぜ込む
皮には精製した小麦粉のマイダーが使われることが多く、ギーなどを先になじませてから、水やミルクでまとめます。柔らかいパン生地のようにするのではなく、丸く延ばせる強さと、揚げた後の歯切れを両立させます。
円形の皮へ具を置いたら、周囲に空いた部分を残して二つ折りにします。縁を湿らせて密着させ、ひだを寄せたり、フォークで押さえたりして閉じます。模様は飾りであると同時に、揚げている間に具が漏れないよう閉じる作業でもあります。
皮を重ね、層を作るものもあります。ゴアのネウリの家庭の作り方では、薄く延ばした生地にギーと粉を混ぜたものを塗って巻き、切り分けてから再び延ばします。包んで揚げると、ひと続きに見えた皮に薄い層が現れます。
ディワーリーの菓子皿
マハーラーシュトラでは、カランジはディワーリーに用意する甘い菓子の一つです。甘いものと塩味の軽食を合わせたファラールの皿には、さまざまな形の菓子が並びます。

カランジを含むディワーリーの菓子皿。撮影:Kashmira3091、2020年、撮影地不明。写真は撮影者側の編集履歴がある配信元の縮小版を使用(出典・CC BY-SA 4.0)。

各地にある半月形の菓子
北インドのグジヤ、グジャラートのグーグラー、テルグ語圏のカッジカーヤルなどにも、甘い具を皮で包む菓子があります。ミルクを煮詰めた餡、豆、ココナッツなど、中身の違いが大きいため、すべてを同じ材料の別名とすることはできません。
カランジの名で、甘くない具を包む軽食もあります。マハーラーシュトラのマタル・カランジの一例では、グリーンピースにココナッツや香辛料を合わせ、皮で包んで揚げます。祝いの菓子としての甘いカランジとは、具の味が異なります。
ゴアではネウリと呼ばれる菓子があり、ディワーリーやガネーシャの祭りに作られます。クリスマスの菓子としても親しまれ、2022年にはゴアの女性たちが、ココナッツとセモリナを詰めたネウリを、手作り菓子の市に持ち寄りました。カランジという名は、各地の半月形の菓子の中でも、マハーラーシュトラの家庭や祝いの食卓に結び付きます。
ゴアにルーツを持つある料理家は、16歳のクリスマスに弟と妹と一緒に初めてネウリを作った時のことを覚えています。ココナッツの具に砂糖漬けの果物を混ぜるのは、彼女の義母の工夫です。
用語解説
- マイダー
- インドなどで使われる精製小麦粉の呼称。
- ギー
- 水分や乳の固形分を除いた乳脂肪。
- ジャガリー
- サトウキビやヤシ類の樹液を煮詰めた糖の総称。
- グジヤ
- 北インドで親しまれる、甘い具を薄皮で包む菓子。乳固形分を使うものなどがあります。







