Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

マハムリ
Mahamri
ココナッツミルクとカルダモンが香る、スワヒリ海岸の揚げパン
揚げ菓子 / ケニア・モンバサなど海岸地域

マハムリ(Mahamri)は、小麦粉の生地にココナッツミルク、糖、カルダモンを合わせて揚げる、東アフリカの甘いパンです。とくにケニアのモンバサなど、スワヒリ海岸の食文化に結びつきます。三角形に切った生地が油の中で膨らむ姿がよく知られますが、丸く作るものもあります。
中央に穴のない、ふっくらした揚げ上がりです。生地そのものに控えめな甘さと香りがあり、茶と一緒に朝食や間食として食べられます。

アリ・マンドリーのルセットに基づく模式図。円盤状にのばして4分割し、切り分けた生地を揚げる。 出典。図:Sweetlore。
生地の中に入るココナッツ
ココナッツミルクは、粉をこねるときに加えます。粉、糖、酵母、カルダモンに混ぜ込み、生地を休ませて膨らませます。ココナッツと香辛料の香りが、生地全体へ広がります。
スミソニアンの2014年ケニア・プログラムで紹介されたルセット(材料の配合と作り方)でも、ココナッツミルクと酵母を用い、生地を暖かい場所で発酵させてから成形します。休ませる間に生地が膨らみ、油の中でさらにふくらむ揚げパンの土台になります。
丸くのばした生地から、三角形を切り出す
三角のマハムリには、丸い生地を4つに切り分ける作り方があります。1枚の円盤から、4つの三角形ができます。発酵した生地を揚げると膨らみ、外側には褐色の面、内側には空気を含んだ部分ができます。
モンバサ出身の料理人アリ・マンドリーは、自身のルセットで、酵母を使い中が空洞に近く膨らむマハムリと、ベーキングパウダーを使い内部が詰まったマンダジを区別しています。彼の配合にはココナッツクリームのほかに牛乳やヨーグルトも入ります。ココナッツ系の液体だけを使う例と、乳製品を組み合わせる例では、生地の内容が異なります。
同氏は生地を十分にこね、体積が増えるまで待ち、平たくのばして4分割してから揚げます。褐色の上下の間に淡い帯が見えることを良い仕上がりの目安として述べています。形、発酵、揚げ方を一続きの工程として扱う作り方です。
マンダジとの境界は、呼び名だけでは決まらない
マハムリとマンダジは、資料によって同じ系統の揚げパンとしてまとめられたり、材料や膨らませ方で区別されたりします。スミソニアンの説明では、地域による呼び名の違いとして扱われます。一方、海岸の料理人には両者をはっきり分ける人もいます。
2つの名の使い分けは、地域や作り手により異なります。スワヒリ語のアンダジを複数にしたマアンダジは、小麦粉などをこねて揚げる食べ物を広く指します。その中でココナッツやカルダモン、酵母を使う海岸の揚げパンをマハムリとして捉えると、菓子の特徴を具体的に比べられます。
茶にも、塩味の料理にも

モンバサのマッキノン市場。マリキティとも呼ばれ、食材を商う人々が集まる。2025年8月13日撮影。
写真:Bahnfrend/CC BY-SA 4.0/原図。配信元の表示用縮小画像、追加加工なし。
マハムリは甘い間食として単独で食べるほか、塩味の料理と合わせるパンにもなります。スワヒリ海岸では、ココナッツを使う豆料理などとの組み合わせが知られ、マンドリーも鶏料理やいもの料理、茶を添える食べ方を挙げています。甘いパンであっても、必ず食後のデザートになるわけではありません。
用語解説
- スワヒリ海岸
- ケニアやタンザニアなど東アフリカのインド洋沿岸。スワヒリ語や海上交易と結びつく文化が育ちました。
- カルダモン
- 種子を香辛料にする植物。マハムリでは生地の香りに使います。
- マンダジ
- 東アフリカで食べられる揚げパンの呼称。マハムリとの区別は地域や作り手で異なります。
- ルセット
- 材料の配合と作り方。







