Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

マライヨ
Malaiyo
夜に仕込み、明け方に泡を集める
デザート / インド・ウッタル・プラデーシュ州ヴァーラーナシー

マライヨ(Malaiyo)は、ヴァーラーナシーの冬の朝に食べられる、乳の泡の菓子です。小さな素焼きの器に淡い黄色の泡を盛り、ピスタチオなどの木の実、カルダモンやサフランで仕上げます。乳を切れるほどに固める菓子と違い、匙ですくった形が長くは残らない軽さがあります。


素焼きの器に盛ったマライヨ(ヴァーラーナシー、2021年、Rinchin1/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし。

ヴァーラーナシーの店頭で器に盛られるマライヨ(2017年、Amol Sinha/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし。
夜に仕込み、明け方に泡を集める
作り手には、乳を煮てから冬の夜気にさらし、明け方にかき混ぜて泡立てる工程が伝えられています。表面へ上がる泡を集めて器へ移し、砂糖や香りを添えます。乳を加熱して冷まし、攪拌して泡を取り分けるまで、順を追って仕込みます。
現地では、夜露がマライヨを作ると語られます。冬の空へ乳を置く工程と季節性を表す、作り手の説明です。ただし、夜露だけで乳が泡へ変わるわけではなく、実際には乳を冷まし、かき混ぜ、泡を取り分ける手仕事があります。
乳皮ではなく、空気を含んだ乳
インドには、乳を煮詰めて濃くする菓子や、表面の乳皮を集める菓子が数多くあります。マライヨの特徴は、乳の濃さだけでなく、空気を含んだ泡を味わうところにあります。ナッツはその泡に対して、小さく硬い歯触りを添えます。
乳の扱い、香辛料、泡の取り分け方は店ごとに異なり、同じ街のマライヨでも配合を1通りに決めることはできません。大きな塊を作って切り売りする菓子ではないため、器へ盛る直前まで泡の状態を保つ仕事が続きます。
旧市街の朝の甘味
チョウク、チョウカンバー、タテーリー・バザールなど、旧市街の通りには冬になるとマライヨを出す店が現れます。朝のうちに食べに来る客がおり、ラッシーなど冷たい乳の飲み物を売る店が、冬にはマライヨを扱う例もあります。泡を食べ終えた器に、甘いサフラン入りの乳を注いでくれる店もあります。
ラッシー店を営むラージ・クマールは、2013年の地元紙の取材で、寒い季節に冷たい飲み物の需要が落ちる一方、冬に売るマライヨが店を支えると話しています。
用語解説
- 攪拌
- 液体などをかき混ぜること。ここでは乳へ空気を含ませる工程に関わります。
- 乳皮
- 乳を加熱した時などに表面へできる薄い膜。
- ラッシー
- ヨーグルトなどの発酵乳を用いる、南アジアの飲み物。
- ラージ・クマール
- ヴァーラーナシーのラッシー店主。冬のマライヨ販売について取材で語っています。







