Sweetlore世界のお菓子図鑑(234)

パフパフ
Puff-puff
発酵生地を油へ落とす、小さな丸いおやつ
揚げ菓子 / ナイジェリアなど西アフリカ

手の中の柔らかな生地を少しずつ油へ落とすと、穴のない球へ膨らみます。パフパフは、小麦粉、砂糖、酵母、水を合わせて発酵させる、西・中央アフリカの揚げ生地です。ナイジェリアやカメルーンではこの名で呼ばれ、近隣にはガーナのボフロットやトグベイ、コンゴのミカテなどの仲間もあります。柔らかな丸い一口は、甘いおやつにも、豆や粥と食べる食事にもなります。
屋台の甘味、集まりの軽食、豆料理の相手
ナイジェリアでは、屋台や家庭で食べるおやつであり、集まりの「スモール・チョップス」の一つでもあります。小さな甘味と塩味を取り合わせる軽食の中で、パフパフのほのかな甘さが加わります。
カメルーンでは、赤い豆を香辛料などで煮た料理と合わせるベニエ・アリコや、さらに発酵トウモロコシの粥を添えるベニエ・アリコ・ブイイが知られます。後者は頭文字からBHBとも呼ばれます。揚げ生地に豆の塩味と香りが重なり、朝食に限らず一日のさまざまな時間に食べられ、専門の軽食店でも供されます。唐辛子のソースを付け、おやつや前菜にする仕立てもあります。
型抜きせず、油の中で球にする
基本のルセット(材料の配合と作り方)は、ぬるま湯へ酵母と砂糖、小麦粉を混ぜ、塩で味を整えて作ります。粉の乾いた部分がなくなるまで混ぜ、覆いをして発酵させます。生地の量が増え、表面に気泡が見えるようになるのが、発酵の目安です。水分が多く、台の上でのばして型抜きする生地とは扱い方が異なります。
丸い形を作るのは、主に油へ落とす瞬間です。生地を手で取り、指先で分量を区切りながら鍋へ落とします。スプーンや小さなスクープですくう方法もあります。柔らかな生地が油の中でふくらみ、周囲から火が通って、丸い球になります。
揚げる油には、球が十分に浮いて動ける深さを取ります。浅すぎると平たい形になりやすく、一度に多く入れると油の温度が下がります。片側が金色になったら返し、反対側も色付け、中心に生の生地が残らないところまで火を通します。熱が強すぎれば、外側が先に焦げてしまいます。揚がったら穴あきの道具ですくい、紙や網へ移して油を切ります。
家庭の香りと、赤いゾボのシロップ
基本の生地へナツメグ、シナモン、粉乳を加えるほか、牛乳と卵でコクを付ける型、ココナッツミルクやココアを使う型も作られます。揚げたまま食べるものから、粉砂糖、シナモンシュガー、チョコレートソースを添えるものまで、仕上げにも幅があります。
ハイビスカスを煮出すナイジェリアの飲料ゾボは、揚げた球の相手にもなります。その材料をシロップへ作り替える現代の工夫では、花を煮出した赤い液をこし、砂糖を加えてとろみが付くまで煮詰めます。飲み物の色と香りを、揚げ生地の表面へ重ねる仕立てです。
パンに近い型と、雑穀を使う別の菓子
ガーナのボフロット、ボフロト、トグベイには、柔らかい型のほか、内側がパンに近く、外側は歯切れよく揚がる型もあります。牛乳の代わりにヨーグルトと水で柔らかくする工夫もあります。西から中央アフリカへ連なる揚げ生地は、呼び名だけでなく、生地の硬さと食事での位置付けにも違いがあります。
セネガルの「祖母のベニェ」は、トウジンビエの粉を小麦粉の二倍使う、別の揚げ菓子です。砂糖と水、膨張のための材料、少量の重曹を合わせ、やや流動性のある生地を小さなガレット状に揚げます。卵と牛乳を使わない点は基本のパフパフに近くても、粉は雑穀が多く、仕上がりは平たい形です。丸い球の仲間を探すときにも、穀物と形、食べ合わせをそれぞれ見ると、土地ごとの違いが見えてきます。
用語解説
- トウジンビエ
- イネ科の穀物。セネガルの資料ではフランス語の mil で示される。
- 酵母
- 糖を利用して発酵し、二酸化炭素などを生じる微生物。生地に気泡を作る。
- スモール・チョップス
- ナイジェリアで親しまれる小さな軽食類。甘味と塩味のものを取り合わせることもある。
- ゾボ
- ハイビスカスを煮出して作るナイジェリアの飲料。
- ナツメグ
- ニクズクの種子を使う香辛料。
- ベニエ・アリコ・ブイイ(BHB)
- カメルーンの、丸い揚げ生地、豆料理、粥を組み合わせる食べ方。







