Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

サセックス・ポンド・プディング
Sussex pond pudding
サセックス・ポンド・プディングの材料と製法
デザート / イギリス・サセックス

サセックス・ポンド・プディング(Sussex pond pudding)は、イングランド南部サセックスの温かいプディングです。生地の中にバターと砂糖を包んで火を通し、切り開くと溶けたソースが皿に広がります。皿に広がるその様子が、名前の「池」を思わせます。

切ると現れる池
現在よく知られる作り方には、レモンを丸ごと一つ入れるものがあります。牛の腎臓の周りの脂、スエットを混ぜた生地を器に敷き、バターと砂糖、皮に穴を開けたレモンを入れて生地のふたをします。長時間ゆっくり加熱するとバターと砂糖が溶け、レモンから出た果汁や皮の香りが混ざります。厚い生地を切り、流れ出るソースと一緒に食べます。


ジェーン・グリグソンの1974年の料理書『イングリッシュ・フード』に紹介された例でも、レモンを一つ丸ごと入れます。生地には刻んだ牛のスエットを使い、内側に角切りのバターと砂糖を置いてレモンを包みます。布を結んで加熱したあと、器から返して食卓で切り分けます。中の甘いソースが皿に流れ出します。
バラ水を添えたり、りんごを包んだり
ハンナ・ウーリーの17世紀の料理書『クイーン・ライク・クローゼット』には、「サセックス・プディング」が載っています。クリーム、バター、粉、卵、香辛料で固い生地を作り、中心に大きなバターを入れて丸めます。バターを塗った布で固く包んでゆで、皿の縁にメギの実を飾ります。食卓で上を切り開き、バラ水と砂糖を中に加える作り方です。ここにレモンは出てきません。
同じ項目には、似た生地で皮をむいた丸いりんごを包んでゆでる方法や、グーズベリーを使う方法も続きます。果実を包んだものも、切ってからバラ水、バター、砂糖を添えます。バターの入った丸いプディングに続けて、果実を包んだ別の例が書かれています。
料理史資料は、丸ごとのレモンを入れる形をグリグソンの1974年の作例にたどっています。17世紀の「サセックス・プディング」と現代のレモン入りは、名や温かいバターのソースに通じるところがありながら、果実と甘味の加え方が異なります。
用語解説
- ジェーン・グリグソン
- 英国の料理書著者。レモンを丸ごと包むプディングを紹介した。
- ハンナ・ウーリー
- 17世紀の英国の料理書著者。サセックス・プディングを記した。
- スエット
- 牛などの腎臓周辺の脂。英国のプディング生地に使われる。
- バラ水
- バラの香りを移した水。菓子の香りづけに用いる。
- グーズベリー
- 酸味のある小さな果実。英国の菓子や保存食に使われる。







