Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

スィルニキ
Syrniki
チーズを生地にする
デザート / ロシア・ウクライナなど

焼き色のついた小さな円盤にナイフを入れると、中は白く柔らかです。スィルニキは、酸味のあるフレッシュチーズを生地の主役にした、東ヨーロッパの料理です。ウクライナやベラルーシ、ロシアなどで朝食や軽食として親しまれ、甘く仕上げれば食後の一皿にもなります。
チーズを生地にする
トヴァロークと呼ばれる白いチーズに卵、小麦粉、砂糖を混ぜ、平たい丸形にしてバターや油で両面を焼きます。トヴァロークは乳を固めて水分を切ったもので、熟成した硬いチーズとは違い、柔らかな粒と乳の酸味があります。卵と粉はチーズをまとめる役目を持ちますが、粉が多くなれば口当たりも変わります。チーズの水分はまとまり方に影響します。水分が多いと生地が手につきやすく、乾きすぎると崩れやすくなるため、粉の量を調整する作り方もあります。形にした表面にも薄く粉をまぶして焼くと、外側に焼き色がつき、内側にはチーズのしっとりした食感が残ります。
1994年刊のウクライナ料理書は、裏ごししたチーズに卵、砂糖、バター、小麦粉を混ぜ、棒状にして切り分け、粉をまぶして焼く方法を載せています。両面を焼いた後、オーブンで火を通し、粉糖とスメタナを添えるレシピです。同じ本には、にんじんやじゃがいもを加えるもの、茹でるものもあります。この料理書には、甘い丸焼き以外の作り方も収められています。
温かい皿の楽しみ
焼きたてにスメタナを添えると、温かい乳の風味に冷たい酸味が重なります。ジャムや蜂蜜を合わせたり、レーズンなどを混ぜ込んだりする作り方もあります。甘くないものもあり、たとえば刻んだディルと塩を混ぜて焼き、スメタナを添える作り方もあります。朝食にもデザートにもなる料理です。
名前のもとになった「シル」はチーズを表す語です。ロシア語で現在よく使われる白いチーズの名はトヴァロークですが、スィルニキという呼び名には古い語が残りました。ウクライナ西部のリヴィウには、チーズ生地を型に入れてオーブンで焼き、カカオの上掛けで仕上げるリヴィウ風シルニクもあります。小さな円盤をフライパンで焼くスィルニキとは形も作り方も異なります。
同じ名の料理は時代や地域によって幅があり、昔の文献でチーズを詰めた薄焼きを指すこともあります。名前だけで、今の丸い形がそのまま昔から続いていたと決めることはできません。
用語解説
- トヴァローク
- 乳を固めて水分を分けた、柔らかいフレッシュチーズ。
- スメタナ
- 東ヨーロッパで使われる、酸味のある発酵クリーム。







