Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ティルネルヴェーリ・ハルワ
Tirunelveli halwa
ティルネルヴェーリ・ハルワの材料と製法
砂糖菓子 / インド・タミル・ナードゥ州ティルネルヴェーリ

ティルネルヴェーリ・ハルワ(Tirunelveli halwa)は、タミル・ナードゥ州の町の名を持つ、小麦を使うつややかな菓子です。すくうと柔らかく揺れ、口の中にギーの香りが広がります。

葉の上に盛られたティルネルヴェーリ・ハルワ。2017年、Sriramlaxman/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0。配信元縮小版、取得後の内容変更なし。
小麦から白い液を搾る
作り方の一例では、小麦の粒を水に浸してから挽き、水を加えてこします。白い液をしばらく置き、沈んだ部分を残して上澄みを除きます。この濃い抽出液を水と砂糖とともに煮ながら混ぜ、ギーを少しずつ加えます。別の家庭のレシピでは、砂糖の一部を焦がして色を付け、残りの砂糖と水を加えてから小麦の抽出液を混ぜます。とろみが付き、鍋の側面から離れるようになったら、煎ったカシューナッツを加えます。


小麦粉をそのまま炒めるハルワとは違い、ここでは粒から洗い出したでんぷんを使います。水を吸ったでんぷんが加熱で粘りを作り、長く練る間に菓子は光沢を帯びます。ギーを加えると混ぜやすくなり、乳脂肪の香りも加わります。町の菓子店ラクシュミー・ヴィラスでは、小麦から搾った白い液を寝かせ、薪で熱した大鍋でギーや砂糖とともに混ぜ続けます。職人は少量を指先に取って固さを確かめ、ギーが浮いてきたところで鍋から移します。
店と町の記憶
同店の家族には、北インドの料理人だった祖先がこの土地へ移り、小麦のハルワを商い始めたという話が伝わります。別の店にもそれぞれの歩みがあり、一つの家族の記憶だけで菓子全体の起源を決めることはできません。
別の店イルットゥ・カダイは、薄暗い店という名で知られます。町に生まれたある書き手は、子どものころ夕方に寺院へ行き、帰りに小さなハルワを買った記憶をつづっています。大人になってからは友人と、バナナの葉に盛られた温かいハルワを囲んで話したといいます。
町を流れる川の水が味を決めるという地元の語りもあります。水と味の関係が実証されたわけではなく、土地の菓子への愛着を伝える話です。
用語解説
- イルットゥ・カダイ
- ティルネルヴェーリのハルワ店の名。「暗い店」を意味する。
- ギー
- バターを加熱し、水分や乳固形分を除いた油脂。
- でんぷん
- 穀物などに含まれる成分。水とともに加熱すると粘りが生じる。







