Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

アリヴェンチ
Alivenci
アリヴェンチの材料と製法
デザート / ルーマニア、モルダヴィア地方

アリヴェンチ(Alivenci)は、ルーマニアのモルダヴィア地方で親しまれる、とうもろこし粉と乳製品を焼いた料理です。柔らかな中身と、焼き色の付いた表面を持ちます。甘いものはデザートになり、塩味のものは食事にもなります。
粉とチーズを一緒に焼く
とうもろこし粉に牛乳や発酵乳、フレッシュチーズ、卵を合わせて焼きます。牛乳で粉を温めたものを冷ましてから卵とチーズを混ぜる例もあります。熱いまま卵を合わせないことで、均一な生地にしやすくなります。焼き上がりにサワークリームやバターを添える食べ方もあります。


粉が乳の水分を吸い、生地に厚みが生まれます。チーズは乳の風味を添えます。薄いパイ皮を重ねる菓子ではなく、材料を一緒に焼くため、切り分けると中はしっとりとまとまります。砂糖を加える量やチーズの塩気は配合によって変わります。
香草を入れるもの、甘く供するもの
モルドバでは、薪窯で焼く際、西洋わさびやキャベツの葉に生地を載せた作り方もあります。塩味の例では羊や牛のチーズに青ねぎや香草を混ぜ、甘い例では新鮮な牛乳のチーズを使います。表面をこんがり焼き、サワークリームや発酵乳を添えます。乳と穀物を組み合わせるこの土地の料理には、甘い菓子だけでなく、塩味のものもあります。
ルーマニアのネアムツ地方で紹介されたチェザリナ・アヴァダネイの作り方では、とうもろこし粉とレーズンを発酵乳に浸し、二種類のチーズ、卵、ディルや青ねぎを合わせます。焼いた後にはサワークリームと蜂蜜を塗ります。香草とレーズンを合わせ、蜂蜜で甘く仕上げる作例です。

1871年の料理書にもこの名のレシピがあると、ルーマニアの食文化資料は紹介しています。フレッシュチーズにとうもろこし粉と卵を合わせる作り方で、いまの多様な家庭料理にも通じる材料が見えます。
単数形はアリヴァンカ(alivancă)、複数形がアリヴェンチです。モルダヴィアやブコヴィナの食卓と結びつく名で、菓子と食事の境目を行き来する郷土の一皿です。
用語解説
- チェザリナ・アヴァダネイ
- ルーマニアのネアムツ地方の作り手。
- とうもろこし粉
- 乾燥したとうもろこしを挽いた粉。粒の細かさには幅がある。
- サワークリーム
- 発酵による酸味を持つクリーム。添えて食べる例がある。







