Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ビント・アッサフン
Bint al-sahn
一枚ずつ伸ばして重ねる
発酵菓子 / イエメン

ビント・アッサフンは、薄い生地を何枚も重ねて焼き、温かいうちに蜂蜜をかけるイエメンのパン菓子です。

油脂の香りを含んだ薄い層を手で分けると、蜂蜜が生地の間にしみます。
一枚ずつ伸ばして重ねる
小麦粉、卵、水、酵母、ギーなどをこね、分けて休ませます。生地が伸ばしやすくなったら、一つずつ紙のように薄く広げ、丸い型に敷き、層ごとに溶かしたギーを塗ります。上面に卵黄を塗り、ニゲラの種やごまを散らして焼きます。


休ませると生地を薄く伸ばしやすくなり、間に塗った油脂が、生地の層を分ける助けになります。焼き上がりに蜂蜜をかけると、香ばしい層と甘い蜜が一緒に味わえます。英語では「ハニーケーキ」とも呼ばれますが、泡立てたスポンジより、薄い層を重ねたパンに近い食感です。
一枚ずつ薄く伸ばして重ねた菓子は、祝いの食事や客を迎える席にも登場します。イエメンの食文化を取材した記事は、昼食の途中に供する慣習と、食後の甘い皿として食べる人々の両方を紹介しています。蜂蜜をかけた焼きたてを食べる時機も、食事のどの段階で出すかも、家庭によって異なります。
山地の作り方と呼び名
イエメン山地の食文化を記した民俗文化誌には、白い小麦粉に少し全粒粉を混ぜ、卵とミルク、酵母などでこねる例が紹介されています。生地を小さく分け、手で薄く伸ばしてギーを塗りながら、金属の皿に15〜20枚ほど重ねます。重ねてから発酵させ、焼き色がついたところへ蜂蜜を注いで供する作り方です。
山地では、卵とミルクを生地に加えないものを「サバーヤ」と呼んで区別する例があります。サバーヤをビント・アッサフンの別名として使う地域もあります。粉や卵、ミルクの配合には、それぞれの土地や作り手の違いがあります。
用語解説
- サバーヤ
- イエメンの層状のパン菓子の呼称。地域によって配合や呼び分けが異なる。
- ニゲラ
- 小さく黒い種子を香り付けに使う植物。ブラッククミンとも呼ばれる。
- ギー
- バターから水分などを除いた油脂。
- 酵母
- 生地の中で糖を利用してガスを作り、膨らみを助ける微生物。







