Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

チローテ
Chirote
層の間へ、粉と油脂を入れる
揚げ菓子 / インド・マハーラーシュトラ、カルナータカ

チローテ(Chirote)、チローティ(Chiroti)は、生地の薄い層が花びらのように開く揚げ菓子です。マハーラーシュトラやカルナータカなどで親しまれ、粉砂糖を振るもの、甘いミルクを合わせるものがあります。平たく丸い菓子の中に、同心円状の層や細かなひだが見えます。

皿に並んだチローテ。撮影:Kashmira3091、2020年、インド。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし(出典・CC BY-SA 4.0)。
層の間へ、粉と油脂を入れる
生地には、精製小麦粉のマイダーを使うものと、細かいセモリナを使うものがあります。セモリナは小麦を粗粒状に挽いたもので、チローティ用には細かなものが選ばれます。水分を加えてこね、粒が水を吸う時間を置いてから、薄く延ばします。
生地の間には、米粉とギーなどの油脂を混ぜたペーストを塗ります。薄い生地を重ねて巻き、輪切りにしてから軽く延ばすと、断面にあった巻き目が、揚げる時に開く層になります。何枚重ねるか、どの粉を間へ使うかは、作り手によって異なります。ギーとコーンスターチを混ぜて層の間に塗る作り方もあります。マハーラーシュトラの家庭で祖母に習った作り手は、薄く延ばした生地を4枚以上重ね、間にギーと米粉を塗ってから巻きます。間に塗った油脂が生地同士のくっつきを抑え、揚げた時に層が離れる助けになります。
上からも熱い油を掛ける
揚げる時には、生地を油の中へ入れるだけでなく、上から熱い油を掛けて層を開かせる方法があります。層が浮き上がるにつれて形が変わるため、強く押しつぶさず、油を通しながら扱います。
薄く分かれた層には軽さがありますが、厚い中心部にも火を通す必要があります。1枚の中心まで火を通し、外側の層を軽く仕上げるには、巻き方や切る厚さに合わせて、揚げ油の温度も調整します。
アーモンドのミルクをかけて味わう
カルナータカには、揚げたチローティを皿の中で崩し、粉砂糖とバーダーム・ミルクをかけて食べる方法があります。バーダーム・ミルクはアーモンドを使った甘いミルクで、薄い層の間へ入り込みます。乾いたままの食感から、ミルクを吸ってほどける食感へと、食卓で変化する菓子です。

ベンガルールのチローティとアーモンド乳。撮影:Gpkp、2026年。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし(出典・CC BY-SA 4.0)。
婚礼などの大きな祝いにも作られます。マイソールの婚礼でチローティとアーモンド乳が供されたことを覚えている料理家ガーヤトリー・クマールは、自宅では揚げたての生地を糖蜜にくぐらせて仕上げます。粉砂糖を振るものは乾いた層の歯切れを楽しみ、蜜を含ませるものは噛むと甘い蜜が出てきます。
マハーラーシュトラでは、ディワーリーの菓子皿にチローテが並ぶこともあります。

チローテを含むディワーリーの菓子皿。撮影:Kashmira3091、2020年、撮影地不明。撮影者側の編集履歴がある配信元の縮小版を使用(出典・CC BY-SA 4.0)。
用語解説
- マイダー
- インドなどで使われる精製小麦粉の呼称。
- セモリナ
- 小麦を粗粒状に挽いた食材。粒の大きさに違いがあります。
- ギー
- 水分や乳の固形分を除いた乳脂肪。
- バーダーム・ミルク
- アーモンドと乳などを合わせる甘い飲み物や菓子用の乳。
- ガーヤトリー・クマール
- マイソールの婚礼の食卓と自宅のチローティ作りを紹介する料理家。







