Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

チュルチヘラ
Churchkhela
ブドウ果汁でナッツを包む、秋のジョージアの菓子
砂糖菓子 / ジョージア・カヘティなど

チュルチヘラ(ჩურჩხელა、Churchkhela)は、糸に通したナッツを、粉でとろみをつけた果汁に何度も浸し、吊るして乾かすジョージアの菓子である。棒状の外見の内側には、クルミやヘーゼルナッツが縦に並ぶ。表面の果汁層は柔らかさと弾力を持ち、噛むと果汁の甘酸っぱさにナッツの歯応えが重なる。
甘味の多くを担うのは、煮詰めた果汁だ。チョコレートで覆う糖菓とは異なり、果汁を濃縮し、粉を加えて塗り重ねられる濃度にする。秋のブドウとナッツの収穫が、一つの菓子の製造時期を決めている。

吊るしたチュルチヘラ。細長い外形の中に、ナッツを並べた芯がある。写真:Georgi1、2013年、Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0、改変なし。
果汁を煮ることと、粉でとろみをつけること
製造は、ナッツを串ではなく糸に通すところから始まる。クルミの半割りやヘーゼルナッツを針でつなぎ、果汁をつけて持ち上げられる長さに整える。糸の芯は、熱い液に浸した後にも形を保ち、乾燥中に吊るすための支えになる。
外側には、ブドウ果汁を濃くしたバダギ(badagi)を使い、小麦粉を加えて加熱する。小麦粉を合わせた濃い液はタタラ(tatara)と呼ばれる。果汁を煮詰めるだけでは、ナッツの周囲に必要な厚みを作りにくい。粉を加えて十分に加熱した液には粘りがあり、糸を引き上げるとナッツにまとわりつく。
浸したものを吊るし、乾燥させ、必要に応じて再び浸す。果汁の層を一度に厚く盛るのではなく、付着と乾燥を重ねる手順だ。回数や間隔は地域と作り手によって異なり、ジョージアの料理紹介には2〜3回浸す例もある。風の通る場所で乾かし、仕上がったものは布に包んで暗く乾いた場所で保管する伝統的な方法がある。
東の小麦と、西のトウモロコシ
カヘティ地方のよく知られた形式は、クルミの半割りを芯にし、小麦粉でとろみをつけた果汁を重ねる。西部のグリア、サメグレロ、イメレティなどでは、ジャンジュハ(janjukha)という近縁の菓子があり、ヘーゼルナッツとトウモロコシ粉を使う例が多い。西部の果汁とトウモロコシ粉の濃い液は、ペラムシ(pelamushi)とも呼ばれる。
ただし、ジャンジュハの芯がすべてヘーゼルナッツというわけではない。グリアの家庭製造を記録したスローフードの紹介は、クルミを水で柔らかくしてから糸に通す方法を記している。同じ西部にも、原料の選択と作業の順序の違いがある。
ラチャでは乾燥果実やアンズ、カボチャの種を芯にする形式もある。サムツヘ・ジャヴァヘティには、クワの果汁と小麦粉を使うものが記録される。チュルチヘラの形式の違いは、外側の色だけにとどまらない。芯の食感、果汁の酸味と香り、とろみをつける穀物が組み合わさって、それぞれの形式を作る。
収穫から、冬の祝いへ

ジョージアの画家ニコ・ピロスマニが描いた葡萄の収穫(20世紀初頭頃)。
写真・図版:Niko Pirosmani/Public domain/原図。Wikimedia Commons生成の450px縮小版を取得。追加のトリミング・色加工なし。原寸は共有環境の429を踏まえ未取得。
チュルチヘラは、ブドウを収穫して搾るルトヴェリ(rtveli)の後に作られる。ナッツが熟す時季も重なり、液体の果汁と粒のナッツを、持ち運べる形に加工した食べ物になる。兵士が旅や戦いへ携えたという伝承もある。果汁の衣を乾かした棒状の菓子は、糸を外さずにまとめて持ち歩くことができる。
乾燥させたものは、冬のクリスマスや新年の食卓にも並ぶ。グリアでの家庭製造は、女性たちが担ってきた技術として記録されている。糸に通し、とろみを見きわめ、乾燥させる一連の作業は、材料名だけでは伝わらない経験を含む。
チュルチヘラは地理的表示にも登録されており、ジョージアの登録記録は2011年12月13日、登録番号2を示す。公表仕様は、果汁に用いるブドウの栽培地域やクワ果汁の産地を定め、東部の小麦粉、西部のトウモロコシ粉という違いも記している。地域の農産物と製造の技術を一緒に扱う制度である。
これとは別に、カヘティのチュルチヘラ製造技術には、2015年10月30日付のジョージア文化遺産保護庁の命令で、国内の無形文化遺産としての地位が与えられた。この地位は、カヘティの製造技術を対象とし、地域の人々が受け継ぐ作業と知識を文化遺産として捉えるものである。







