Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

クサン・ド・リヨン
Coussin de Lyon
クサン・ド・リヨンの材料と製法
砂糖菓子 / フランス・リヨン

クサン・ド・リヨン(Coussin de Lyon)は、チョコレートのガナッシュを淡い緑色のアーモンド生地で包んだ、リヨンの小さな菓子です。四角く、ふっくらした姿は絹のクッションを思わせます。外側の甘いアーモンドと、なめらかなチョコレートの中心が重なり、キュラソーの柑橘の香りが添えられます。

製造元のショコラトリー・ヴォワザンによると、内側はチョコレートのガナッシュ、外側は砂糖をまとわせた薄いアーモンド生地で、製造には4日を要します。チョコレートそのものを固めて包むのとは違い、中心のガナッシュは口どけのよい層になります。外側のアーモンド生地が、四角い枕の輪郭を作り、木の実の甘さを添えます。辻調理師専門学校が紹介する作り方では、ガナッシュをマジパンで巻いて切り分け、シロップに浸して乾燥させます。表面に砂糖が結晶することで、外側にかりっとした食感が生まれます。

ヴォワザンの製造所にも、リヨンの繊維産業との意外な接点があります。地域の産業遺産調査によると、同社は1980年、かつて人造絹糸を作っていた工場の増築部分に移りました。2003年の調査には、クサン用の生地を混ぜる機械や乾燥室が記録されています。絹の枕を思わせる菓子が、かつて繊維を扱った建物でも作られていたのです。
この形は、リヨンのフルヴィエールの丘に伝わる奉納の話と結びついています。1643年、疫病から町を守ってほしいと願った市の代表たちが、絹のクッションに金貨をのせて聖母に捧げたとされます。菓子が生まれたのはその時代ではありません。ヴォワザンが20世紀に作った菓子に、町の絹織物と奉納の記憶が重ねられています。
地元紙が2014年に紹介した菓子は、濃い色の筋を付けたアーモンド生地の内側に、キュラソーで香りを付けたガナッシュを収めていました。同紙は、時代とともに厚みや甘さ、酒の香りが変わってきたとも伝えます。絹の枕を模した形は残しながら、中身は作り手によって調整されてきました。現在は個包装や箱詰めなどでも売られ、リヨンの贈り物として親しまれています。
用語解説
- ガナッシュ
- チョコレートにクリームなどを合わせた、なめらかな詰め物。
- キュラソー
- 柑橘の果皮などで香りをつけたリキュール。
- ショコラトリー・ヴォワザン
- クサン・ド・リヨンを作るリヨンの菓子店。







