Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ギュルラーチ
Güllaç
ギュルラーチの材料と製法
デザート / トルコ・各地、ラマダンの食卓

ギュルラーチ(Güllaç)は、でんぷんで作った薄い乾燥生地に甘いミルクを含ませ、重ねて作るトルコの菓子です。くるみやピスタチオを間に挟み、バラ水で香りを付け、ざくろの粒を散らすこともあります。乾いていると割れやすい生地が乳を吸い、匙で切れるほどやわらかくなります。
薄い乾燥生地に、温かいミルクを含ませる
薄い生地自体もギュルラーチと呼ばれます。でんぷんと粉を水で溶き、熱した鉄板に流して薄い円形に焼き、乾かします。食べるときは砂糖を溶かした温かいミルクで一枚ずつ湿らせ、重ねます。乳が熱すぎると生地が崩れやすく、冷たすぎると十分に戻りにくいため、乳の温度が仕上がりに関わります。

一枚ずつ包むイスパルタの形
イスパルタの一例では、薄い生地を三角に切ってミルクで戻し、甘くしたケスミキを包んで細く巻きます。乳と砂糖の液をかけて軽く加熱し、冷まして供します。層を重ねて四角く切る姿だけでなく、一枚ずつ包む形もあります。

19世紀の料理書と市場
食文化の研究サイト Gurmestan の紹介によると、1864年にロンドンで刊行されたトゥラービー・エフェンディの料理書には、ギュルラーチを使う三つの作り方が載っています。一例は、卵白と小麦でんぷんで作る薄い生地を重ね、層の間に乳とバラ水を振り、中央にカイマクを挟んで砂糖のシロップを注ぐものです。当時の作り方では、炭火にかけた少しふくらんだ鉄板の裏に灰を塗り、熱くなりすぎないようにして薄い生地を焼きました。今日よく見られる、甘くした乳をたっぷり含ませる形とは、湿らせる液体の役割が違います。
同書には、アーモンドを包んで揚げるものや、生地を砕いてシロップで固めるものも紹介されています。当時のイスタンブールでは、この薄い生地は出来合いでも売られていました。

イスタンブールではラマダンが近づくと、生地の束が大きな籠で市場へ運ばれ、その姿が季節の到来を知らせたと記録されています。名を「バラの料理」に結び付ける説明もありますが、語源には別の説明もあり、バラ水を使うことだけで由来を決めることはできません。
用語解説
- ケスミキ
- 乳を酸で凝固させ、水分を切った乳の固形分。
- カイマク
- 乳から作る濃厚なクリーム。
- トゥラービー・エフェンディ
- 1864年刊のトルコ料理書を編んだ人物。
- ラマダン
- イスラム暦の断食月。







