Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

イルミキ・ヘルヴァス
İrmik helvası
イルミキ・ヘルヴァスの材料と製法
デザート / トルコ・各地

イルミキ・ヘルヴァス(İrmik helvası)は、セモリナを油脂で炒り、甘い液体を加えて蒸らすトルコの菓子です。細かな小麦の粒が、炒る間に色づいて香ばしくなり、液体を吸うとやわらかくまとまります。松の実を一緒に炒る作り方もあります。


粒を炒り、蜜を吸わせる
鍋に溶かした油脂へセモリナと松の実を入れ、絶えず混ぜながら炒ります。別の鍋で砂糖を水に溶かし、炒った粒へ加えて加熱します。ふたをして休ませる間に粒が水分を含み、ほぐせる状態になります。色や香りは炒り方に左右され、液を入れる前に穀物を炒ることが、この菓子の味を作ります。
水の代わりに乳、または水と乳の両方を使う地域もあります。粒を炒ってから水分を含ませるため、乳で米を煮るスュトラッチとは口当たりが異なります。同じヘルヴァでも、ごまのペーストを固めるタヒニのハルヴァとは材料も作り方も別です。

一鍋を分ける
宗教上の祝いの日に作られるほか、葬儀の後に弔問客へ供し、近所に分けることもあります。アンタルヤで記録された追悼の集まりでも、読誦の後にイルミキ・ヘルヴァスが客に出されます。炒る時間が長いため、大きな木の匙を家族が交代で持ち、亡くなった人を思いながら混ぜることもあります。ヘルヴァを多めに作り、できあがったものを親族や近所の人へ分けます。
オーストラリアで暮らすディルヴィン・ヤサさんは、家族の友人の葬儀のあと、母や叔母たちが台所で交代しながら炒り、故人の話をしていた子どものころを振り返っています。できあがった菓子を匙で形作って器に分け、人々に渡す光景も覚えています。一鍋のヘルヴァは、祝いと弔いの両方の席に登場します。
用語解説
- セモリナ
- 小麦を粗くひいた粉。トルコ語でイルミキと呼ばれます。
- ディルヴィン・ヤサ
- 家族の追悼の食卓の記憶を綴った人物。







