Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ジュジュ・ダウ
Juju dhau
ジュジュ・ダウの材料と製法
デザート / ネパール、バクタプル

ジュジュ・ダウ(Juju dhau)は、ネパールのバクタプルで知られる、濃厚な発酵乳です。ネワール語で「ヨーグルトの王」を意味する名を持ち、素焼きの器に入ったまま売られます。甘く仕立てたものにスプーンを入れると、煮詰めたミルクの濃厚さと、発酵乳らしい酸味を一緒に味わえます。砂糖を加えないものもあります。

店先で手に持ったジュジュ・ダウ。2022年、Gaurav Dhwaj Khadka/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0。配信元縮小版、取得後の内容変更なし。
ミルクを煮詰め、器の中で発酵させる
水牛の乳は脂肪が多く、豊かな口当たりにつながります。作り手によっては牛乳を少し加えることもあります。乳を加熱し、甘いものには砂糖を加えて煮ながら混ぜた後、土の器に注ぎます。乳が温かい程度に冷めたところで種となる発酵乳を加え、保温して固めます。乳を煮詰めることと、細かな穴のある土の器が水分を吸うことの両方が、濃い仕上がりに関わります。
ネパールの伝統食品の手引きには、水牛乳を鍋で煮詰め、もみ殻に埋めた器へ高い位置から何度か注ぐ作り方が紹介されています。前日に作ったジュジュ・ダウを種として加え、器に蓋をして布などで覆います。器は小さなものから大きなものまであり、人数に合わせて分けられます。
兄弟の店で、前日の発酵乳を種にする
バクタプルで取材されたナビンさんとムリゲンドラさんの兄弟の店でも、前日に作った発酵乳を、新たに仕込むための種として使います。器をもみ殻の上に並べ、高い位置から乳を注ぐと、泡立って表面に皮ができます。乳が冷めるのを待ち、種を加え、器に別の器を伏せて毛布で覆います。
兄弟はチトワンから水牛乳を取り寄せ、需要に応じて牛乳も少し使っていました。取材当時、父親が始めた店の仕事を受け継ぎ、祭りや大きな注文に合わせて普段より多く作っていました。鍋での加熱から保温まで、固まる時間を待ちながら一日の仕事が進みます。

ジュジュ・ダウ作りの土器。2025年、Sanjib Chaudhary/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0。配信元縮小版、取得後の内容変更なし。
祝いの席と土の器
ジュジュ・ダウはネワールの祭りや儀礼に用いられ、バクタプルだけでなくカトマンズ盆地の店でも親しまれています。ネワールの暮らしでは、祝いの席や旅立ち、帰宅の際に、幸運を願ってダヒを贈る習慣も伝えられます。田植えの時期にあたるアサール月15日には、ダヒと平たくつぶした米を食べる習慣があり、バクタプルの作り手は需要に合わせて製造量を増やします。
器の中で乳を発酵させ、そのまま手渡す作り方は、乳を扱う技術と土地の焼き物を一つに結び付けています。ジュジュ・ダウには、バクタプルの土器職人が作る器が使われてきました。現在はプラスチック容器を使う例もあり、器の変化は作り手と陶工の双方に関わっています。

ネパール・バクタプルの陶工。2016年、Gita Dhoj Karki/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0。撮影者名の透かしを含む配信元縮小版、取得後の内容変更なし。
用語解説
- ネワール
- カトマンズ盆地を中心に暮らし、独自の言語や文化を伝えてきた人々。
- ダヒ
- 南アジアで食べられる発酵乳。
- 種
- 新しく乳を発酵させるために加える、前に作った発酵乳など。
- ナビン
- バクタプルの発酵乳店を継いだ兄弟の一人。
- ムリゲンドラ
- ナビンの兄弟で、発酵乳店を受け継いだ作り手。







