Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

キャウム
Kavum
キャウムの材料と製法
揚げ菓子 / スリランカ

キャウム(Kavum)は、米粉とヤシの糖蜜を使って揚げるスリランカの菓子です。英語ではオイルケーキとも呼ばれ、シンハラとタミルの新年の食卓に並びます。糖蜜を混ぜた生地は揚げると濃い色になり、小さな揚げ生地の中に、糖蜜の甘さが残ります。


突起のあるコンダ・キャウム。2013年、Chamal N/Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0。配信元縮小版、取得後の内容変更なし。
揚げながら串で突起を作る
キャウムにはいくつもの種類があります。コンダ・キャウムは上に結い上げたような突起を作る型で、鍋の中で生地を揚げながら形を整えます。ある作り方では、一晩浸して粉にした米をキトゥルの糖蜜と塩に混ぜ、ひとすくいずつ油に落とします。途中で串を中心に差して中の生地を持ち上げ、さらに生地や熱い油をかけて突起を作ります。型から抜くのではなく、揚げている生地を串で動かし、生地や油をかけながら形を作ります。
串を回す間も、周囲の生地には熱い油をかけます。新聞記者が母親と初めて作ったときには、油をかけることに気を取られて串を回し忘れたと振り返っています。母に教わりながら米を洗って乾かし、粉にするところから始めた、その家の新年の台所の一場面です。
一方、緑豆を使うムン・キャウムなど、材料と形の違うものもあります。米粉の揚げ菓子という共通点があっても、コキスのような薄い型抜きの食感とは別の菓子です。
キトゥルの甘さと新年の皿
キトゥルの糖蜜は、ヤシの花の房から集めた樹液を煮詰めて作ります。樹に登って花の房に容器を取り付け、滴る樹液を集める人がいます。液を濃く煮詰めた糖蜜はキャウムに濃い甘さを加え、固めればジャガリーにもなります。

新年の食卓では、コキスやミルクライスなどとともに菓子皿に盛られ、親族や近所の人と分け合われます。スリランカの家族が、日本で暮らす人たちに届ける贈り物として、知人にキャウムを託した例もあります。スリランカの家庭を描いた回想には、作りたてのキャウムを味見し、菓子を大きな土器にしまって祝いに備えた様子が綴られています。
古い記録と今の形
1681年に出版されたロバート・ノックスのセイロン島の記録には、「Caown」の作り方が登場します。米粉とジャグリーを小さくまとめ、葉の上で親指で押してから、ココナッツ油かバターで揚げるという記述です。そこに記された揚げ菓子と、今日の突起のあるコンダ・キャウムの形がそのまま同じだったとまでは言えませんが、米と甘味を合わせて揚げる菓子が古く記録されていることはわかります。
用語解説
- キトゥル
- スリランカで樹液を採り、糖蜜や砂糖に加工するヤシ。
- ムン・キャウム
- 緑豆を使うキャウムの一種。
- ロバート・ノックス
- 17世紀にセイロン島に滞在し、土地の暮らしを著書に記した人物。







