Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

メシル・マジュヌ
Mesir macunu
メシル・マジュヌの材料と製法
砂糖菓子 / トルコ・マニサ

メシル・マジュヌ(Mesir macunu)は、さまざまな香辛料や植物を練り合わせた、トルコ西部マニサのペーストです。小さく紙に包まれ、春の祭りではモスクの高い場所から集まった人々へまかれます。カルダモン、クローブ、しょうが、シナモンなど、さまざまな香りが甘いペーストに重なります。



香辛料を合わせ、紙に包む
祭りのためのマジュヌは、職人が材料の鮮度を見て配合を決め、弟子とともに混ぜて煮ます。マニサの祭りで伝えられる配合には41種の植物や香辛料があり、練り上げたものは小さな色紙に包まれます。職人が作る過程と、包んだ菓子を多くの人に分ける儀礼が結び付いています。
2026年の祭りに向けた工房では、水と砂糖、レモン塩を煮たものを一日休ませ、香辛料の混合物を合わせていました。工房の女性たちができ上がったペーストをはさみで切り、小さく包みます。22年間そこで働いてきたビルギュル・アルガさんも、その準備に携わっていました。
春に分ける祭り
その始まりには、オスマン帝国のスレイマン1世の母ハフサ・スルタンにまつわる話があります。マニサで病にかかった彼女のために、医師メルケズ・エフェンディが植物と香辛料を合わせたペーストを作り、回復した彼女が毎年春に人々へ分けるよう望んだというものです。これは祭りに伝わる由来の物語であり、現代の医学的な効能を示すものではありません。
春のノウルーズを迎える時期から、マニサではマジュヌを練り、祈りとともに包み、スルタン・モスクの屋根やミナレットからまきます。受け取ろうと集まる人々にとって、菓子を手にすること自体が祭りの一部です。祭りでは行列や音楽、踊りも催され、近隣から訪れた人々にもマジュヌが分けられます。この祭りは2012年にユネスコの無形文化遺産代表一覧に登録されました。
用語解説
- ハフサ・スルタン
- オスマン帝国のスレイマン1世の母。祭りの由来に登場します。
- メルケズ・エフェンディ
- 祭りの伝承でマジュヌを調合したとされる医師。
- ノウルーズ
- 春分のころに祝われる新年。
- ミナレット
- モスクに付属する塔。
- ビルギュル・アルガ
- 祭りの準備や包装に長年携わる工房の作り手。







