Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ムルターンのソーハン・ハルワ
Multani sohan halwa
ムルターンのソーハン・ハルワの材料と製法
砂糖菓子 / パキスタン、ムルターン

ソーハン・ハルワ(Sohan halwa)は、乳、粉、砂糖、ギーなどを長く練り上げて作る濃厚な菓子です。パキスタン南部パンジャーブの都市ムルターンでは、木の実を散らした菓子を缶に詰め、旅先から家族や友人へ持ち帰る贈り物としても知られています。


三種類の小麦を練る
ムルターンのハーフィズ・ソーハン・ハルワの製法では、発芽小麦の粉、精製小麦粉、小麦粉の三種類を乳に合わせ、火にかけながら竹のへらで絶えず混ぜます。取材によれば濃くなるまで7〜8時間練り、砂糖を加えて水分を飛ばし、火から下ろしてギーを混ぜ込みます。金属の皿に広げて木の実などをのせ、3〜4時間置いて固めると、切り分けて運べる菓子になります。粉の配合や時間はこの店の方法で、ソーハン・ハルワすべての決まりではありません。
混ぜる手を止めずに鍋の底から生地を返し、仕上がったものを平らな金属皿へ移します。ひと口食べるとギーの豊かな香りと濃い甘さが広がり、散らした木の実が歯応えを添えます。
ハルワの名は広い地域のさまざまな甘いものに用いられます。ごまのペーストを主体にしたタヒニのハルヴァと比べると、ムルターンのこの店の品は乳と小麦を練り上げる点に特徴があります。どちらも同じ名前の仲間ですが、材料も組織も一つではありません。
町の店と伝承
この菓子の始まりには複数の話があります。一つは、菓子職人ソーハンが古くなった乳を煮て小麦粉と砂糖を加えたところ、その菓子が評判になり、ムルターンの統治者サワン・マルの宮廷にも届いたという話です。別の話ではサワン・マル自身が考案したとされます。どちらも、菓子の由来として語り伝えられる話です。
ハーフィズの店については、アフマド・ディーンが生徒や家族のために作った菓子を、義理の息子ハビーブ・ウッル・ラフマーンが1963年にムルターンのフサイン・アガヒ市場で販売し始めたと伝えられます。これはその店の沿革であり、菓子全体の起源ではありません。
離れた土地へ運ぶ味
インド分離独立の後にムルターン地方から移った人々にも、ソーハン・ハルワは故郷の味として受け継がれました。研究者リトゥ・バガットは、家族がインドのソーニーパトで職人ダンヌに作ってもらった品を思い出しています。その菓子にはクルミが使われ、離れて暮らす親族にも届けられました。ムルターンの店から持ち帰る缶と同じように、菓子の記憶も人とともに土地を越えています。

用語解説
- ギー
- バターを加熱し、水分などを除いた油脂。
- ソーハン
- 菓子の起源を語る一説に登場する職人。
- サワン・マル
- ムルターンの統治者。ソーハン・ハルワの由来に複数の形で登場します。
- アフマド・ディーン
- ハーフィズの店の沿革で、菓子を作った人物として伝えられます。
- ハビーブ・ウッル・ラフマーン
- アフマド・ディーンの義理の息子で、店の沿革に登場します。
- リトゥ・バガット
- 移住家族の食の記憶を記録した研究者。
- ダンヌ
- 菓子店で働いた職人。







