Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

プーラン・ポーリー
Puran poli
豆餡のなめらかさが、薄皮を守る
デザート / インド・マハーラーシュトラ

プーラン・ポーリー(Puran poli)は、甘い豆餡を小麦の生地で包み、薄く延ばして焼くマハーラーシュトラの菓子です。焼き上がりは平たいパンの姿をしていますが、薄皮のすぐ内側まで、豆とジャガリーの餡が広がっています。表面には焼き斑が付き、温かいうちはギーの香りとともに柔らかくちぎれます。
マラーティー語では、プーランが中の甘い具、ポーリーが平焼きパンを指します。

マハーラーシュトラの食卓に並ぶプーラン・ポーリー。撮影:Phadke09、2021年。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし(出典・CC BY-SA 4.0)。
豆餡のなめらかさが、薄皮を守る
マハーラーシュトラでは、チャナ・ダールと呼ばれる皮を除いて割ったひよこ豆がよく使われます。豆を柔らかく煮て水分を切り、ジャガリーと煮ながら餡にします。カルダモン、ナツメグ、しょうがなどを加える作り方があります。ジャガリーが溶けると豆餡はいったん緩むため、混ぜながら煮て、丸められるほどに水分を飛ばします。
餡には、豆粒の硬い部分を残さないことと、包める程度に水分を減らすことの両方が求められます。粒が残れば、薄く延ばす時に皮を内側から破りやすくなります。家庭にはプーラン・ヤントラという、煮た豆を押し通してつぶす道具もあります。ふるいやマッシャーでつぶす作り方もあり、餡をなめらかにすることで薄い皮と一緒に延ばしやすくなります。

ナシク県の家庭でプーランを仕込む。撮影:कल्याणी कोतकर、2020年。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし(出典・CC BY-SA 4.0)。
包んだ後で、もう一度延ばす
外側の生地には全粒粉、精製小麦粉、または両者の混合が使われます。餡とともに延びる柔らかさになるよう、水と油脂を加えてこね、休ませます。小さく広げた皮に餡を置き、縁を集めて閉じた後、包み全体を円形に延ばします。
焼く道具はタワーという平たい鉄板です。両面を返しながら焼き、ギーを塗ります。餡の水分、皮の柔らかさ、閉じ口の厚みが合わなければ、均一には延びません。皮と餡の硬さが近いと、一緒に薄く延ばしやすくなります。
土地ごとに異なる甘いパン
カルナータカのホリゲやオッバットゥ、アーンドラのボッバットゥ、タミル地方やケーララのポーリーなどにも、甘い具を包んで薄く焼く菓子があります。豆の種類、ココナッツの使用、糖、香辛料、皮の粉や色などに違いがあります。これらをすべて1つの配合の別名とすることはできません。
グジャラートではヴェードミとも呼ばれ、ダラ・シャーが祖母から受け継いだアーメダバードの作り方では、キマメを煮てジャガリーやココナッツと合わせ、餡にします。カーンデーシュのマンデには、大きく薄く仕上げる例があります。プネーの催しで見られた作り手は、豆餡を包んだ生地を両腕で回しながら延ばし、伏せた大きな鍋の上で焼いていました。
隣接するマディヤ・プラデーシュ州のバラーガート県でも、マラーティー語を話す人々の祭りの食卓に登場します。県の料理案内では、ホーリーや新年のグディ・パードワーに作り、ガネーシャ祭には神への供物にする例が紹介されています。
マハーラーシュトラでも大きさや厚みは一定ではなく、家庭の好みや地域によって仕上がりが変わります。薄い生地に餡を広げるという構造を共有しながら、それぞれの土地で粉と豆の組合せが異なります。
甘いパンの隣に、豆の煮汁
プーラン・ポーリーはホーリーやガネーシャの祭りなどに作られます。添え物はギーや乳、ヨーグルトだけではありません。豆を煮た時の汁からカタチ・アームティという香辛料の効いた汁物を作り、食事の組合せに用いることがあります。
料理家ウマ・アビヤンカルが紹介する祭りの食事では、プーラン・ポーリーとカタチ・アームティに加え、じゃがいもの炒め物、ココナッツのチャトニ、きゅうりのライタ、米やダールが並びます。甘い餡に使う豆と、その煮汁から作る汁物が、同じ食卓に並びます。
動物性食品を使わない作り方もあります。ジャイナ教徒の団体が紹介する家庭のレシピでは、豆とジャガリーを詰めた生地を植物油でこね、焼いた後にも植物性のギーを添えます。同じ甘いパンでも、食べる人の習慣に合わせて油脂を選べます。

プーラン・ポーリーを含む食卓。撮影:Sharvarism、2021年、撮影地不明。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし(出典・CC BY-SA 4.0)。
用語解説
- ジャガリー
- サトウキビやヤシ類の樹液を煮詰めた糖の総称。
- チャナ・ダール
- 皮を除いて割ったひよこ豆。
- ギー
- 水分や乳の固形分を除いた乳脂肪。
- プーラン・ヤントラ
- 煮た豆などを押し通し、細かくつぶす道具。
- タワー
- 平焼きパンなどを焼く、平たい鉄板や浅い鍋。
- カタチ・アームティ
- プーラン作りで残った豆の煮汁などを使う、マハーラーシュトラの汁物。
- ウマ・アビヤンカル
- マハーラーシュトラの祭りの献立を紹介する料理家。
- ダラ・シャー
- 祖母から受け継いだグジャラートの家庭の作り方を紹介する人。







