Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

サルサティア
Sarsatia
サルサティアの材料と製法
揚げ菓子 / インド・オディシャ州サンバルプル

サルサティア(Sarsatia)は、オディシャ州西部サンバルプルで作られる、細い糸を重ねた揚げ菓子です。網のように絡み合う細い線は軽く、噛むとさくりと崩れます。甘さは穏やかで、乳やキールに浸して食べるほか、肉のカレーに添える人もいます。
枝の液と米から生まれる網
材料のなかで目を引くのは、ガンジール、またはガンジェルと呼ばれる木の小枝から得る粘りのある液です。小枝を集め、洗って水に浸し、しみ出した成分をこします。この液に生米の粉と砂糖を合わせて生地にします。小麦の麺を細く切るのではなく、流れる濃さの米の生地から、油の中で細い線を作ります。
作り方には違いがあります。ある地元のレシピでは、枝の外側をむいて数日水に浸し、粘りが出た液を使います。米は浸水して水を切り、乾かしてから粉にします。生地を穴の開いたおたまに注ぎ、熱した油の上で回すと、細い筋が二、三重に重なります。色づいたところで油から上げ、冷ますとぱりっとした網になります。オディシャの食用油メーカーが紹介する別のレシピでは、枝の液を使わず米粉を水で溶き、細く揚げた後で糖液にくぐらせます。



作り手によっては道具も異なります。サンバルプルの職人プラブーラル・グプタは、枝を一晩水に浸して作ると話し、粘りのある生地に手を入れて油へ広げる方法を紹介しています。別の職人ナレンドラ・ナート・サフは、アルアと呼ぶ生米を木製の搗き具デンキで粉にし、枝から液を取る加減が大切だと語っています。どちらも、粉にした米を細い線に揚げる手仕事です。
山から店へ
枝を得るために山へ向かうところから、菓子作りは始まります。サフの店についての2016年の取材は、バラパハール丘陵で小枝を集めることや、枝の入手が難しくなり価格が上がったという地元の声を伝えています。グプタの家族の場合、レンガリの先の森へ早朝に出かけ、夕方に戻って枝を洗い、水に浸すといいます。
家族から祭りへ
サフは祖父が近所の夫婦から作り方を学び、父へ伝えたと話します。グプタも家族で店を続け、朝から一日を通して菓子を作ってきました。ヌアカイの祝いには、サマレシュワリ女神に供えるために店から届けたこともあるそうです。別の取材には、ドゥッセラーの時期に供える菓子としての話も残ります。細い米の網は、家の朝食や祝いの席に並び、寺院への供物にもなります。
店の古さや菓子の始まりについては、百年以上前から数百年前まで異なる説明が伝わります。家族から聞き継がれた店の歴史は大切な手がかりですが、菓子の生まれた時期や最初の作り手は定かではありません。
用語解説
- ガンジール
- 枝から得る粘りのある液をサルサティアに使う木の現地名。ガンジェルなどとも記される。
- デンキ
- 米などを搗く木製の道具。
- キール
- 乳や米などを煮て甘くした南アジアの料理。
- ヌアカイ
- オディシャ州西部などで、新しい米の収穫を祝う祭り。
- プラブーラル・グプタ
- サルサティアを作る職人。
- ナレンドラ・ナート・サフ
- サルサティアを作る職人。
- サマレシュワリ
- この土地で信仰される女神。







