Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

テクア
Thekua
焼かずに揚げる、粉の菓子
揚げ菓子 / インド・ビハール、ジャールカンド、ネパール南部

テクア(Thekua)は、小麦粉、ギー、ジャガリーや砂糖を使う、厚みのある揚げ菓子です。ビハール、ジャールカンド、東部ウッタル・プラデーシュからネパール南部にも分布し、チャト・プージャーの供物として知られます。丸形や葉形の表面には、木型などで押した模様が残ります。

チャト祭に供えられた模様入りのテクア(コルカタ、2013年、Biswarup Ganguly/Wikimedia Commons、CC BY 3.0)。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし。

皿に並んだテクア(ネパール・カトマンズ盆地、2019年、Janak Bhatta/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし。
焼かずに揚げる、粉の菓子
全粒小麦粉に油脂をすり混ぜ、溶かしたジャガリーなどの甘い液体でまとめます。フェンネル、カルダモン、ココナッツを加える例があります。生地を練り続けて強い弾力を出すのではなく、型の模様が残る固さにまとめ、小さく分けて押し広げます。
全粒粉の粒感と糖の色があるため、白い小麦のクッキーとは違う褐色になります。表面へ模様を押す時にも、柔らかすぎる生地では形がぼやけ、乾きすぎれば割れやすくなります。水分を少しずつ調整すると、模様を押した後に型から外しやすくなります。

木型が残す葉や線
テクアの木型には、葉脈や幾何学的な模様が彫られます。家庭では櫛状の道具やフォークなどで線を付けることもあります。表面の模様は飾りであると同時に、1つずつ手で成形した跡でもあります。
厚みがあるので、表面だけが濃くなりすぎない火で揚げ、冷ましてから仕上がりを確かめます。熱いうちは柔らかさがあり、冷めると外側の歯触りがはっきりします。ジャガリーを使うか白砂糖を使うかでも、色と風味は変わります。
太陽への供物と、家へ持っていく甘味
チャト・プージャーは、太陽神などを敬う祭りです。テクアはその供物に用いられ、祭りの後には家族や近隣へ分けられます。店で買って食べるだけでなく、家庭で作って供え、分け合う習慣と結び付いています。
ネパールのビールガンジでは、家族が供物を籠に入れて水辺へ運び、テクアをバナナやココナッツ、ショウガなどとともに太陽神に供えます。夕方の沈む太陽への祈りに続き、翌朝は昇る太陽を迎えます。祭りのために作ったテクアは、こうした果物や植物と一緒に供えられます。
用語解説
- ギー
- 水分や乳の固形分を除いた乳脂肪。
- ジャガリー
- サトウキビやヤシ類の樹液を煮詰めた糖の総称。
- フェンネル
- 菓子や料理に用いる、甘い香りのある香辛料。
- チャト・プージャー
- ビハールやネパール南部などで行われる、太陽神などへの祭り。







