Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ティルクット
Tilkut
温かい糖と、ごまを搗く
砂糖菓子 / インド・ビハール州ガヤ

ティルクット(Tilkut)は、ごまと砂糖、またはジャガリーを搗き合わせる、インド東部の菓子です。ビハール州ガヤが産地として知られ、丸く平たいものや小さくまとめたものが売られます。断面には細かくなったごまが詰まり、噛むと糖の甘さと炒った種の香りが広がります。


ごまとジャガリーのティルクット(2014年、Jagisnowjughead/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)。配信元の縮小版を使用、取得後の内容変更なし。

温かい糖と、ごまを搗く
ティルクット作りでは、甘味を付けたごまを型へ流すだけでなく、搗く工程が大切です。煮た糖へ多くのごまをまとわせ、固くなりきる前に繰り返し打ち、形を整えます。搗いて粒を細かくするうちに、糖とごまが全体になじみます。
温かい時には動かせる糖も、冷えると硬くなります。混ぜ、搗き、分けて平たくする作業は、糖の状態の変化に合わせて行います。丸いビスケットのような姿でも、オーブンで焼いた粉菓子とは違う作り方です。
糖によって変わる色
白砂糖を使う白っぽいもの、シャッカルと呼ばれる未精製の糖を使う淡い褐色のもの、ジャガリーを使う濃い褐色のものがあります。同じごまでも、糖の違いが色と風味を変えます。
どの糖を使い、粒をどこまで細かくし、どの厚みにまとめたかが、食べた時のほどけ方にも関わります。
冬のガヤと、収穫の節目
ティルクットは冬、とくにマカラ・サンクランティの時期に親しまれます。ガヤではラムナー・ロードが菓子を買う場所として知られ、店先に糖やごまの異なる品が並びます。祭りの食事では、ダヒ・チューラーという、押しつぶした米と発酵乳を合わせた料理に添えることもあります。
サンクランティが近づくと、ガヤでは店だけでなく家を使った小さな工房でもティルクットを搗きます。2025年の現地報道には、ガヤ周辺の町から季節の仕事に来た職人たちが、冬の注文に合わせて遅い時間まで作る様子が記されています。
近縁のガジャックにもごまと糖を搗く工程があります。呼称が重なる地域もあり、ガヤの丸いティルクットに対し、ガジャックには薄い層に仕上げる地方の品もあります。
用語解説
- ジャガリー
- サトウキビやヤシ類の樹液を煮詰めた糖の総称。
- シャッカル
- 砂糖の呼称。ここではティルクットに使う未精製糖の区分を指します。
- マカラ・サンクランティ
- インド各地で祝われる、太陽の移行と季節の節目に関わる祭り。
- ダヒ・チューラー
- 発酵乳と押しつぶした米などを合わせる、ビハールなどの食べ物。







