Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

トルタ・デッレ・ローゼ
Torta delle rose
トルタ・デッレ・ローゼの材料と製法
発酵菓子 / イタリア・ロンバルディア州マントヴァなど

トルタ・デッレ・ローゼ(Torta delle rose)は、巻いた発酵生地を並べて焼く、イタリア北部の菓子です。切り口が上を向いた幾つもの渦が、バラのつぼみを集めたように見えます。マントヴァやブレシア、ガルダ湖周辺で親しまれ、柔らかい生地の間からバターと砂糖の甘さが広がります。

生地を長方形に延ばし、柔らかく練ったバターと砂糖を塗ります。端から巻いて筒状にし、輪切りにして型に並べます。ロンバルディアの一例では、切った生地の底を閉じ、互いに間をあけて置いてから発酵させます。生地がふくらむにつれて隣の巻きに近づき、焼き上がると一つの大きな菓子になります。切り分けると、渦の形がそれぞれの取り分にも残ります。マントヴァ地方の料理紹介には、延ばした生地を先に八つの帯に切り、それぞれ巻いて上側に切り込みを入れる例もあります。

生地の作り方には違いがあります。家庭向けに一度巻いて成形するものもあれば、菓子職人が生地を折り重ねて休ませ、さらにバターと砂糖を塗って巻くものもあります。中にカスタードクリームを入れた一人分の菓子も作られています。どれも巻いて形を作りますが、発酵の取り方や詰め物には違いがあります。

この菓子には、1490年にマントヴァの領主フランチェスコ2世・ゴンザーガと結婚したイザベッラ・デステのため、料理人クリストフォロ・ディ・メッシスブーゴがバラを模して作ったという話が伝わります。別に、ガルダ湖南部に起源を求める説もあります。華やかな婚礼の話は伝承です。現代の菓子がその日に初めて作られ、同じ配合のまま続いてきたとまでは確かめられません。
用語解説
- フランチェスコ2世・ゴンザーガ
- マントヴァの領主。イザベッラ・デステの夫。
- イザベッラ・デステ
- マントヴァのゴンザーガ家に嫁いだ人物。菓子の婚礼伝承に登場する。
- クリストフォロ・ディ・メッシスブーゴ
- ルネサンス期の宮廷料理人。トルタ・デッレ・ローゼの由来の説に登場する。







