Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

イェマス・デ・サンタ・テレサ
Yemas de Santa Teresa
イェマス・デ・サンタ・テレサの材料と製法
砂糖菓子 / スペイン、アビラ

イェマス・デ・サンタ・テレサ(Yemas de Santa Teresa)は、スペインのアビラで作られる、卵黄と砂糖の小さな菓子です。「イェマ」はスペイン語で卵黄を意味します。黄色い一粒のまわりには砂糖がまぶされ、柔らかな中身に卵黄の濃い味わいが残ります。紙の小さなカップに一つずつ収められ、箱に並べて贈り物にもされます。

卵黄を小さな粒にする
スペイン政府観光局が紹介するイェマス・デ・アビラの一例では、砂糖を水に溶かし、レモンの皮とシナモンを入れて糖液を作ります。香りを移したら皮とシナモンを取り除き、こした卵黄と合わせ、再び火にかけて混ぜます。沸騰させると卵黄が固まってしまうため、鍋から離れるほどまとまったら冷まします。

冷めた生地を太いひも状に延ばし、等分して丸め、粉砂糖をまぶします。流れるクリームの状態から、手で一粒ずつ形を整えられる固さにすることが大切です。同じ名で売られる菓子でも、レモンの利かせ方や細かな配合は店によって違います。
アビラの店と聖人の名
城壁に囲まれたアビラは、16世紀の修道女テレサ・デ・ヘススゆかりの町です。老舗ラ・フロール・デ・カスティーリャにつながる製造元は、1860年にアビラで始まった家族の菓子店がイェマス・デ・サンタ・テレサを作り、売り出したと紹介しています。聖人の名を冠したこの菓子は、町を訪れた人が箱に入れて持ち帰る土産としても知られます。
製造元の箱には、絵と文字を組み合わせて「イェマス・デ・サンタ・テレサ、ラ・フロール・デ・カスティーリャ」という菓子と店の名を表す絵解きが添えられます。聖テレサの姿、音符の「ラ」、花、旧カスティーリャの地図などをつなげて読みます。絵はかつて町の酒場で紙ナプキンに描かれた、という話も伝わっています。

一方、この菓子の始まりについては、修道院に結びつける話と、菓子店で作られるようになったとする話があります。アビラの観光資料も起源は明らかでないと紹介しています。店の沿革はその店の歴史を伝えるもので、卵黄菓子が初めて作られた時や、聖テレサ本人との直接の関わりを証明するものではありません。
ポルトガルにも卵黄と砂糖を組み合わせる菓子が多くあります。エンシャルカーダが卵を糖液の中でひだ状に固めて皿に盛るのに対し、イェマスは丸く成形し、一粒ずつ紙に載せます。材料が近くても、火入れと仕上げで菓子の姿は変わります。
用語解説
- テレサ・デ・ヘスス
- アビラゆかりの16世紀の修道女、聖人。
- イェマ
- スペイン語で卵黄。菓子名では卵黄を中心にした小菓子も指す。
- 糖液
- 砂糖を水に溶かし、加熱した液。







