Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ヨマリ
Yomari
ヨマリの材料と製法
デザート / ネパール、カトマンズ盆地

ヨマリ(Yomari)は、米粉の皮で甘い具を包み、蒸して作るネパールの菓子です。先をとがらせた形は魚やしずくにもたとえられます。カトマンズ盆地に暮らすネワールの人々の食文化に根付き、新米の季節には家族で作って収穫を祝います。

割ったヨマリの皮と中の具。2009年、Ritesh Man Tamrakar/Wikimedia Commons、CC BY 2.0。配信元縮小版、取得後の内容変更なし。

ネパール・カトマンズのハディガウン食祭で撮影されたヨマリ。2026年、Nabin K. Sapkota/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0。配信元縮小版、取得後の内容変更なし。
米の皮に二つの甘さを包む
米粉に熱い湯を少しずつ加えてこね、手の中で片側を細く延ばします。反対側に指で穴を開け、器のように中を広げて具を入れ、口を閉じて蒸します。具が漏れないように包んだ米の皮を割ると、甘い中身が現れます。
代表的な具は、チャクとごま、またはクワです。チャクはサトウキビの糖を煮詰めて引き延ばした甘い材料で、ごまを合わせると香ばしさが加わります。カトマンズ北方のトカはチャク作りで知られる土地です。クワは乳を煮詰めた材料で、ココナッツを合わせる例もあります。同じ皮でも、黒っぽい糖の濃い甘さと乳のまろやかさでは、味わいが違います。
ネパールの料理記事が紹介する作り方では、チャクを水とともに温め、黒ごまとその粉を混ぜて冷ましてから包みます。クワの具にはココナッツやアーモンドを加える例もあります。油で揚げるセル・ロティとは、米を使いながら形も加熱方法も異なります。

蒸し器に並べたヨマリ。Nirjal stha/Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0。配信元縮小版、取得後の内容変更なし。
新米と満月を迎える
ヨマリ・プンヒは新米の季節の満月に祝う祭りです。穀物と食べものの女神アンナプルナに米を供え、収穫に感謝します。家族が集まって作るヨマリには、神々をかたどったものもあり、穀物を入れる大きな貯蔵籠に供えます。若い人たちが近所を歌い歩いてヨマリを求め、家々から分けてもらう習慣もあります。
ヨマリは祭りだけの食べものでもありません。ネワールの子どもの誕生日に、年齢に合わせた数のヨマリをつないで首飾りにする習慣も伝えられます。カトマンズでは、祭りの日に屋台で売られるほか、年間を通してメニューに載せる店もあります。東京のネパール料理店で、黒ごまの餡のヨマリに、発酵たけのこを使った塩味のアルタマを添えて出された例もあります。
形と始まりをめぐる話
名前はネワール語で「好まれる食べもの」という意味に結び付けて説明されます。パナウティの夫婦が新米と糖を使って作り、近所に分けたところ喜ばれたという言い伝えもあります。姿を変えて訪ねてきた富の神クベーラにも分け、祝福を受けたという続きも語られます。これは菓子の始まりを語る伝承であり、誰が最初に考案したかを確定する記録ではありません。
形の見立ても一つではなく、魚や寺院の尖塔、柑橘の実に似ているという考えがあります。どれか一つを形の由来と決めることはできませんが、米の皮を手で整えるこの菓子に、人々がさまざまな姿を重ねてきたことがうかがえます。
用語解説
- チャク
- サトウキビの糖を煮詰め、引き延ばして作るネパールの甘い材料。
- クワ
- 牛乳などを煮詰めて水分を減らした乳製品。
- ヨマリ・プンヒ
- 新米の時季の満月に、ヨマリを作って祝う祭り。
- アンナプルナ
- 穀物や食べものに関わる女神。
- クベーラ
- 富に結びつく神。菓子にまつわる伝承に登場します。







