Sweetlore世界のお菓子図鑑(234)

ガトーショコラ
Gâteau au chocolat
日本で親しまれる濃いチョコレートの焼き菓子
ケーキ / フランス・日本

粉糖の白い表面、割れ目のある丸い一台、密なチョコレートの切り口。日本で「ガトーショコラ」と呼ぶとき思い浮かべる姿の一つです。しかしフランス語のガトー・オ・ショコラ(gâteau au chocolat)は、チョコレートのケーキ全般を受け止める広い名。生地の泡、粉と油脂の配分、中心をどう作るかによって、同じ名の中にも別の設計があります。
チョコレートの割合だけでは決まらない
チョコレートにはカカオ固形分だけでなく、カカオバターや糖も含まれます。一方、ココア粉は油脂の一部を除いた原料です。同じ重さで置き換えると、生地の油脂と糖の割合まで変わります。カカオ分の高いチョコレートに替えれば、同じ柔らかさになるとは限りません。表示の百分率は風味を考える指標の一つであって、ケーキ全体の水分や甘さを決める単独の数値ではないのです。
明治の公開ルセット(材料の配合と作り方)は、ミルクチョコレートとココアを併用し、卵黄と卵白を分ける型です。チョコレートとバターを溶かして、卵黄、クリーム、粉類を合わせ、別に泡立てたメレンゲを加えます。最初の少量を混ぜて重い生地を緩めると、残りの泡をより少ない混合で均一に行き渡らせられます。全量の泡を最初から同じように扱わない順序に、意味があります。
焼くと膨らみ、冷めると少し沈んで密な内部になることもあります。表面の割れも、この型では直ちに失敗を意味しません。冷えるとチョコレートの油脂が落ち着くため、温かい生地と冷たい切り口では硬さも異なります。
流れる中心を別に作る
ヴァローナのクーラン・オ・ショコラには、全卵を軽く泡立てた外側の生地へ、溶けるチョコレートの中身を入れて焼くルセットがあります。流動する中心は、ケーキ全体を生焼けにして作るものとは限りません。外側とインサートを分ければ、焼ける生地と流れる中身を別々に設計できます。
フォンダン、モワルー、クーランといった呼称は柔らかさに関わりますが、製造者による使い方の幅もあります。クリームを挟むもの、糖衣で覆うものを含め、名前だけで配合や内部の構成を決めることはできません。
ブラウニーとの境をどこに置くか
丸いガトーショコラと四角いブラウニー、という外形の対比だけでは足りません。前者にも全卵で作るものがあり、後者にも密なものから軽いものまであります。キングアーサーの製菓解説にも、粉や卵を増やし、水分や膨張剤を加えて、ケーキに近いきめへ仕立てるブラウニーが登場します。
卵にどれほど泡を含ませるか、粉に対する油脂とチョコレートの比率、型の深さ、焼き止める時点。こうした組合せで密度と柔らかさが変わります。「フランス式なら必ず別立て」「ブラウニーなら必ず膨張剤なし」という境界より、材料をどう扱ったかの違いが、切り口をよく説明します。
生地を味わう型、重ねて仕上げる型
チョコレートを含む生地そのものを味わう型に対し、焼いた後の層を重ねて完成させるケーキもあります。ウィーンのザッハトルテでは、チョコレート入りの生地にアンズジャムとチョコレートの上掛けを組み合わせます。生地にある甘さと苦みへ、果実の酸味、糖衣の別の口当たりを加える仕立てです。ホテル・ザッハーが公開する家庭向けの近似ルセットも、横に切った生地へジャムを塗り、糖液とチョコレートの上掛けを流す手順を示します。
メレンゲで持ち上げた一台、独立した流れる中心を包むクーラン、焼いた後にジャムと糖衣を重ねるトルテ。同じチョコレートのケーキでも、柔らかさを生地の中に作るか、異なる層を取り合わせるかが違います。日本語の「ガトーショコラ」で親しまれる濃い焼き菓子は、この広い仲間の中で、生地の切り口と口溶けへ魅力を集めた型として読めます。
飲み物の固形から、焼き菓子の材料へ
古い「チョコレートのケーキ」という語にも、現在とは異なる意味があります。18世紀の英語では、飲料にする固形のチョコレートを指す用法がありました。1765年から米国で製造を始めたベーカー社も、当初の商品は飲み物用の固形チョコレートです。古い菓子名らしい語があるだけでは、焼きケーキが存在した証拠にはなりません。
一方、18世紀フランスには、卵と粉の焼き生地へチョコレートを加えるルセットがあります。サント=ジュヌヴィエーヴ図書館の2024年展は、ムノンの『ラ・キュイジニエール・ブルジョワーズ』にそのビスキュイを取り上げ、同じルセットが1778年版『レ・スーペ・ド・ラ・クール』にも収録されたとしています。
十九世紀には、原料を作る技術と、その届け方が変わります。一八二八年、アムステルダムのカスパルス・ファン・ハウテンが用いた油圧プレスは、カカオのペーストからカカオバターを分け、粉状のココアをより安く製造する道を開きました。同社は一八六五年に缶入りの販売を始めます。油脂を一部除いた粉を使うか、糖と油脂も含むチョコレートを使うかという現在の選択には、こうした製造と商品化の歴史が重なります。
ベーカー社の一八八六年の料理冊子にも、飲料と並んでケーキやマカロンが載りました。材料と道具の普及に加え、使い方を家庭へ伝える出版も、飲料や上掛けを越えて用途を広めました。同社の冊子はその一例であり、世界最初のチョコレートケーキの発明記録ではありません。日本でなじみ深い濃い一台も、こうした広い用途の中から選ばれた、一つの姿です。
用語解説
- メレンゲ
- 卵白に空気を含ませ、通常は糖を加えて泡立てたもの。
- クーラン
- フランス語で流れる性質を表す語。流動する中心を持つ菓子にも使う。
- インサート
- ムースやケーキの内部へ入れる、別に調製した中身のパーツ。
- フォンダン/モワルー
- 口で溶ける感じ、柔らかさに結び付くフランス語の呼称。製造者により配合や中心の状態は異なる。
- ビスキュイ
- 卵と粉などを焼いた製菓用の生地。
- ムノン
- 十八世紀フランスの料理書著者。チョコレートを使うビスキュイのルセットを残す。
- ウォルター・ベーカー社
- 1886年に飲料やケーキなどを収めたチョコレート料理冊子を刊行した米国のメーカー。
- ザッハトルテ
- チョコレートの生地、アンズジャム、チョコレートの上掛けを組み合わせるウィーンの菓子。
- カスパルス・ファン・ハウテン
- オランダのカカオ製造者。1828年の油圧プレスによるココア製造史に名を残す。
調査注記
原料製造史はブランド当事者の年譜による。1828年のカスパルスのプレスと、息子コーンラートによる別工程を混同していない。ココア製造の変化を世界最初のケーキの発明や日本への普及年の証明には使わない。ここでは日本でいう濃い焼き菓子を中心としつつ、フランス語の広い名称の範囲を技術の比較で示す。個々のチョコレートケーキの全史は各記事の主題と区別する。
パレードの【Valentine 2026】ガトーショコラ/Gâteau Chocolat Classique
カカオの上質なチョコレートを贅沢に使い米粉と合わせて仕立てた生地の中にラム酒に漬け込んだ、いちじく・デーツ・ブルーベリー・レーズンを入れ、トッピングにはキャラメリゼしたアーモンドとローストピスタチオを乗せ、大人な味わいに。
重厚感の中にやさしい口溶けを感じられる華やかな果実の香りとチョコレートの深いコクが重なり合うガトーショコラです。
グルテンフリー、無添加にこだわっているからこそ安心して召し上がっていただけます。
自分へのご褒美や、大切な方と過ごす時間にいつもより少し贅沢なひとときを♪
パレードの【X’mas 2025】ガトーショコラ・ノエル(ラム薫る果実とナッツガトーショコラ) / Gâteau au chocolat de Noël
京都・伏見桃山の洋菓子店「パレード」が手がける、2025年クリスマス限定の「ガトーショコラ・ノエル(ラム薫る果実とナッツガトーショコラ)」。
大東カカオの上質なチョコレートを贅沢に使い、米粉と合わせて仕立てた生地の中に、ラム酒に漬け込んだいちじく・デーツ・ブルーベリー・レーズンを入れ、仕上げには生クリームとキャラメリゼしたナッツ、削りチョコ、そしてパレードの“P”をかたどったチョコを添えた、重厚感のなかにやさしい口どけを感じられる、華やかな果実の香りとチョコレートの深いコクが重なり合うガトーショコラ。ちょっぴり大人な、そしてグルテンフリーや無添加素材にこだわった、大切な人と囲むクリスマスにふさわしい一本です。
このお菓子に寄せられたお客様の声
2025年も、おいしいケーキとお菓子を作ってくださり
ありがとうございました✧✧
お仕事をがんばったごほうびや、
大事な人たちとの想いのひとときに、
いつもパレードさんのスイーツをいただいておりました!
たくさん幸せな気持ちになっていました〜〜♡
来年もたくさん買いに行きたいと思っています✧
スタッフのみなさま、
よいお年をお過ごしください!
クリスマスケーキ、2つともとってもおいしかったです!!
特にチョコのケーキがのうこうで、大人なお味で、
パレードさんのチョコ系でいちばん好きでした✧
また食べたいくらいです、、
いちごのケーキもふわふわで最高でした〜♡
ずっと大好きなお味です♡2025年12月








