Sweetlore世界のお菓子図鑑(234)

チャハ
Chajá
桃とクリームに、砕いたメレンゲの軽さ
ケーキ / ウルグアイ

乾いたメレンゲ、柔らかなスポンジ、泡立てたクリームと桃が、一台の中に重なります。ウルグアイのパイサンドゥーで生まれたチャハは、外側にも白いメレンゲのかけらをまとった菓子です。乾いたメレンゲの軽い割れ方と、シロップを含むスポンジの柔らかさが、一口の中で対照になります。
二つの卵の泡を、違う層へ仕上げる
チャハのメレンゲは、卵白と砂糖を泡立ててから、低温のオーブンで乾かしたものです。柔らかい泡を上に絞って焦がす仕立てとは違い、乾いた粒や円盤が、クリームの中に別の歯ざわりを作ります。層へ挟む平らなメレンゲと、飾りのための小さなメレンゲを、それぞれ用意する型もあります。
スポンジには、卵と砂糖を十分に泡立ててから粉を折り込む、ジェノワーズを使う作り方があります。卵を湯煎で温めて泡立てやすくし、持ち上げた生地の跡がしばらく残る状態まで混ぜます。粉を加える時は泡をつぶさずに合わせ、焼いて冷ました生地を薄く切り分けます。
二つの卵の泡は、乾かす時間と粉の有無によって別の層になります。
桃の果肉を置き、シロップで湿らせる
家庭や料理家の型では、冷たい生クリームを砂糖と泡立て、シロップ煮の桃を合わせます。桃は液体を切って刻み、残ったシロップはスポンジを湿らせるために使います。果肉をのせる場所と、生地へ水分を含ませる仕事を分けることで、果実を散らすだけのケーキとは異なる層ができます。
ドゥルセ・デ・レチェを加える型では、薄いスポンジへ塗り、その上に乾いたメレンゲ、泡立てたクリーム、桃を置きます。これを繰り返し、最後のスポンジで閉じます。シロップへポートワインを加える作り方もあります。乳を煮詰めた濃い甘味が入ると、白いクリームと桃の間へ、キャラメル色の層が加わります。
組み立てには同じ大きさの円盤と丸い枠を使うと、具を外へ逃がさず重ねられます。表面と側面をクリームで覆い、冷蔵庫で落ち着かせてから、砕いたメレンゲや桃で飾ります。白いかけらは、ケーキの中の乾いた層を外側へも続ける仕上げです。
鳥の羽毛に重ねた名
一九二七年、パイサンドゥーのラス・ファミリアスでオルランド・カステジャーノが作った菓子には、土地の鳥チャハの名が付けられました。県の公的観光ガイドは、豊かな羽毛と軽い体が菓子に似ていたという命名の逸話を伝えます。白く不揃いなかけらと内側の軽い泡を、鳥の姿へ重ねた話です。
鳥の chajá という語は菓子より古く、スペイン王立アカデミーの歴史辞典は一八〇五年までの鳥の記述を挙げます。グアラニー語説、鳴き声の模倣説があり、語源は未確定です。鳥の語の由来と、その鳥へ菓子をなぞらえた経緯は別の来歴を持ちます。
県の文化遺産委員会は二〇一七年十月、菓子を文化的価値のある品と認めました。町で育った菓子が、地域の文化として扱われるようになった一例です。
一人分の円筒と、家庭で切るケーキ
チャハには、一人分の小さな円筒形の菓子も、大きく切り分けるケーキもあります。食文化研究者グスタボ・ラボルデは、まず菓子店の商品として広まり、のちに家庭でも模して作られるようになったと記しています。料理家が公開する作り方には、メレンゲの円盤を挟む型、かけらを使う型、ドゥルセ・デ・レチェを重ねる型などがあります。
店の一人分を模した円筒と、家庭で大きく重ねて切り分ける一台では、同じ層を食べる人数と場に合わせて組み直します。
用語解説
- パイサンドゥー
- ウルグアイ西部の都市、および県。チャハが生まれた土地です。
- オルランド・カステジャーノ
- パイサンドゥーの菓子店ラス・ファミリアスで、一九二七年にチャハを作った人物です。
- チャハという鳥
- 南米の鳥、学名Chauna torquataの現地名。菓子の命名と結びついています。
- ジェノワーズ
- 卵と砂糖を泡立てて粉を合わせるスポンジ生地。湯煎で温めてから泡立てる方法があります。
- メレンゲ
- 卵白と砂糖を泡立てたもの。チャハでは焼いて乾かした型を使います。
- ドゥルセ・デ・レチェ
- 乳と砂糖を煮詰める、中南米で親しまれる甘味です。







