Sweetlore世界のお菓子図鑑(234)

ジンジャー・クランチ
Ginger crunch
しょうがの糖衣を重ねる、二層の切り菓子
焼き菓子 / ニュージーランド

しょうがを練り込んだビスケット状の土台へ、しょうがの糖衣を流す。ニュージーランドのジンジャー・クランチは、同じ香りを上下に入れ、二つの歯触りを一切れにする切り菓子です。天板で一枚に焼き、最後に角切りにするため、小さな一個の輪郭は切り分けるときに生まれます。
そぼろを押して作る、下の層
柔らかいバターと糖をすり混ぜ、粉、ベーキングパウダー、粉末しょうがを加えます。そぼろに近い状態でも、型へ押し広げると一枚の土台になります。高く膨らませるケーキより、焼けた粉とバターの香ばしさ、歯ごたえを生かす構成です。
上のアイシングは、バター、粉砂糖、ゴールデンシロップ、粉末しょうがを温めてなめらかにします。下にも上にも香りがあるため、最初に触れる糖衣から、噛んで崩れる生地まで、しょうがが続きます。冷えると均一な面へ落ち着く糖衣は土台の細かな焼き目を隠しますが、切り口には焼いた層と後から重ねた層の境界が残ります。
熱いうちに流すか、冷まして塗るか
現在のエドモンズのルセット(材料の配合と作り方)は、熱い生地へ熱い糖衣を流し、すぐ切り目を入れて冷ます方法です。温かい間は糖衣を広げやすく、土台が完全に硬くなる前に四角い輪郭を決められます。
一方、1952年8月22日の『ニュージーランド・リスナー』掲載ルセットは、土台を温かいうちに切り、冷めてから糖衣を塗ります。卵を使わず、しょうが入りの生地と、粉砂糖、バター、ゴールデンシロップ、しょうがの糖衣を合わせる構成は近くても、扱う温度と切る順序は同じではありません。
菓子職人デイヴィッド・リーボヴィッツがニュージーランドの読者から受け取ったルセットも、しっかりしたショートブレッドと糖衣の組合せです。糖衣の厚みには配合ごとの差があり、下の香ばしく崩れる部分と上のなめらかな糖を、一緒に噛むところに特徴があります。
1952年の誌面を行き交うルセット
一九五二年の『リスナー』には、家庭にすでに広まっていたこの二層菓子の姿が見えます。
その欄の書き手は、南のインバーカーギルから「新発見」として届いたルセットに似たものが、数日後には北、東、西からも届くと述べ、その例にジンジャー・クランチを挙げました。一人の発明者の証言ではなく、家庭から家庭へルセットが移り、時には名も変わる様子を伝える同時代の記録です。一枚を小さく切る形は、お茶や持参の昼食へ添える当時の使い方にも合っていました。
穀物、しょうが、発泡糖の重ね方
糖メーカーのチェルシーが公開する投稿者ヴァネッサの型は、土台とアイシングに、別に煎ったオーツ麦とココナツのクランブルを重ね、ダークチョコレートを細く掛けます。穀物の軽い粒が、焼いた土台とは別の崩れ方を加えます。
同じく投稿者アナベルの型では、土台そのものにオーツ麦、ココナツ、糖漬けしょうがを混ぜ、上にホーキーポーキーという発泡した糖のキャンディーを飾ります。糖衣には粉末だけでなく、すりおろした生のしょうがも加えます。しょうがの形を増やし、噛み砕く層を加えることで、二層の菓子はさらに異なる口当たりへ展開します。
用語解説
- アイシング
- 砂糖などで作り、菓子の表面を覆う糖衣。
- ゴールデンシロップ
- 琥珀色の濃い糖液。
- スライス
- ニュージーランドなどで、平たく作り四角などに切り分ける菓子の呼び名。
- デイヴィッド・リーボヴィッツ
- 米国出身の菓子職人・料理著述家。パリを拠点に菓子の配合を伝える。
- ショートブレッド
- バター、砂糖、粉を主体に、細かく崩れるきめへ焼く菓子や生地。
- クランブル
- 粉や油脂などをそぼろ状にし、焼いて崩れる食感を作るもの。オーツ麦やココナツを使う型もある。
- ホーキーポーキー
- 糖液に重曹を加えて泡立て、固めた多孔質のキャンディー。







