Sweetlore世界のお菓子図鑑(234)

ルイーズ・スライス
Louise slice
ジャムの赤を挟むココナッツメレンゲ
焼き菓子 / ニュージーランド

バターの土台、ジャム、ココナッツ入りメレンゲ。ニュージーランドのルイーズ・スライスは、大きな三層を焼いてから四角や細長い一切れへ分ける菓子です。家庭ではルイーズ・ケーキとも呼ばれます。卵黄を土台へ、卵白を上面の泡へ分けることで、ほろりとした生地、果実の酸味、甘く軽い上面に別々の仕事を与えられます。
卵の配分と、果実のつなぎ
卵黄はバター、糖、粉と土台へ、卵白は泡立て、糖と乾燥ココナッツを加えて上へ使います。二つの卵を余さず分ける型も、土台は卵黄2個、上は卵白3個の型もあり、土台の厚みと泡の量を調整できます。
間のジャムは甘さだけでなく、二つの生地をつなぎ、色と酸味を切り口へ残します。ラズベリーがよく使われますが、エドモンズにはプラムとブラックカラントも挙がります。ココナッツが細かければ均一な上面、繊維が長ければ凹凸の目立つ表情になります。
同時に焼くか、土台を先へ進めるか
エドモンズは、生の土台へジャムとメレンゲを重ね、一度に焼き、まだ温かい間に切って型で冷ます型です。チェルシーは土台を先に焼いて少し冷まし、残りを重ねて再び焼き、冷めてから切ります。ジャムを置く前の土台の火入れと、切るときの上面の硬さに、二つの工程の違いがあります。
果実と泡の作り方を替える型もあります。ナオミ・トイラロの『Whānaukai』のルセット(材料の配合と作り方)では、ラズベリーをチアシードと煮てとろみを付け、卵白と糖は湯煎で温めてから泡立てます。瓶詰めジャムと通常のメレンゲの代わりに、水分の多い果実と温めて作る泡を組む一例です。英語とマオリ語を併記した同書での名は、Keke Rahipere Me Te Kokonati。午前のお茶へ切り分けるほか、ベリーやヨーグルトを添えるデザートの皿にもなります。
1927年、読者が尋ね、読者が答えた
『Otago Witness』の1927年9月20日の読者欄に、「Louisa cake」の作り方を尋ねる投稿があります。翌9月27日には「Louise Cake」と呼ぶ配合が寄せられ、求める菓子と同じかもしれないと断った上で、バター生地、ジャム、卵白とココナッツの三層を説明します。別の投稿者も、好みのラズベリージャムで作る三層を伝えました。
10月4日には、さらに「Louisa cake」の別ルセットが載ります。綴りの揺れと複数の手順から、1927年には家庭の作り手同士で名が通じ、確かめ合う菓子だったことがわかります。複数の家庭が別々のルセットを持ち寄った時点で、名も作り方も既に一つには固定されていませんでした。
王女の婚礼と、菓子名の距離
名はヴィクトリア女王の娘ルイーズ王女にちなむという説があります。王女がジョン・キャンベルと結婚したのは、1871年3月21日、ウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂です。王室の記録でたどれるこの婚礼も、ニュージーランドの三層菓子がその席で生まれ、記念に命名されたことまで示してはいません。
王女の物語は残っていても、具体的な作り方が行き交う記録は、後の新聞の家庭欄にあります。名の由来と家庭での継承には別の手掛かりがあり、今も三層を焼く順序や果実を替える、一枚の菓子の幅につながっています。
用語解説
- ルイーズ王女
- ヴィクトリア女王とアルバート公の娘。1871年にジョン・キャンベルと結婚した。菓子の命名相手とする説は、婚礼の事実とは別に検証が必要。
- ジョン・キャンベル
- ルイーズ王女の夫。結婚当時はローン侯爵、のちのアーガイル公。
- 『Otago Witness』
- ニュージーランド南島で発行された週刊紙。1927年の読者欄に、この菓子の作り方を問う投稿と複数の返答がある。
- メレンゲ
- 卵白を泡立て、砂糖を加えたもの。ココナッツを混ぜると乾いた繊維を含む焼き上がりになる。
- 乾燥ココナッツ
- 削って乾燥させたココナッツの果肉。粒の大きさが表面の質感に影響する。
- ブラックカラント
- カシスとも呼ばれる黒い小果実。
- チアシード
- 水分を吸って周囲にゲル状の層を作る種子。トイラロのルセットではジャムのとろみに使う。
- ナオミ・トイラロ
- 英語とマオリ語を併記した料理書『Whānaukai』の著者。







