Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

カルトーシュカ
Kartoshka
ひとくずから作る菓子
ケーキ / ロシアなど旧ソ連圏

カルトーシュカは、スポンジなどを細かく砕き、クリームと合わせて芋形に整える甘い菓子です。ココアに覆われた姿は、土のついた小さなじゃがいもを思わせます。ココアをまぶした茶色い表面に、白いクリームで芽を描くこともあります。
スポンジのくずから作る菓子
スポンジのかけらを細かくし、バタークリームと混ぜます。好みによってラムやブランデーを香りづけに使い、まとまった生地を小さな楕円形にしてココアと粉糖をまぶします。クリームで乾いたスポンジのくずがまとまり、冷やすとバターが締まって形を保ちます。口に運ぶと、表面のほろ苦さの後に、しっとりした生地とミルクやバターの風味が広がります。
白いスポンジを使い、ココアは外側だけにまぶす例では、割ると中は明るい色です。生地にもココアを混ぜるもの、クッキーやラスクを砕いて練乳とバターでまとめる家庭の作り方もあります。専用にスポンジを焼くこともでき、何を砕くかで粒の残り方や香りが変わります。
芋形に成形し、飾りを付ける
小さな芋形を生かし、ハリネズミの顔や針をつけて飾った例もあります。成形した菓子に表情をつけると、同じ生地から違った姿が生まれます。
菓子工房と家庭の台所
ケーキを形よく切りそろえると、スポンジの端が残ります。ロベルト・ケンギスの1960年の製菓書には、スポンジのくずを裏ごししてクリームと混ぜ、芋の形に整えるルセット(材料の配合と作り方)が載っています。ココアと粉糖をまぶし、表面にくぼみをつけ、白いクリームを絞って芽を表します。この本は、菓子やケーキを切った際の端材を加えることもできると記しています。別の家庭向けレシピでは、手に入りやすいビスケットやラスクが使われました。菓子の名前にある「じゃがいも」は形のたとえであり、通常の生地の材料を指しません。
料理家ダリヤ・チェルネンコは、子どものころ父がラスクをひき、母と一緒に生地を混ぜ、家族で丸めてココアと粉糖をまぶした思い出を綴っています。くるみを飾って冷やし、固まるのを待った菓子を、今は娘と一緒に作っています。
砕いた菓子をつなぎ直す発想は、山形に盛るムラヴェイニクにも通じます。カルトーシュカは一つずつ手で芋形に整える菓子です。
用語解説
- ダリヤ・チェルネンコ
- ロシアの料理家。家族でカルトーシュカを作った思い出を紹介している。
- バタークリーム
- バターを泡立て、砂糖や乳製品などを合わせたクリーム。
- ラスク
- パンや生地をもう一度焼き、乾燥させた菓子や食品。
- ロベルト・ケンギス
- ソ連の製菓書著者。1960年刊の製菓書にカルトーシュカの作り方を記した。
- ルセット
- 材料の配合と作り方。







