Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ゲルムクネーデル
Germknödel
ゲルムクネーデルの材料と製法
発酵菓子 / オーストリア・ドイツ(バイエルンなど)

ゲルムクネーデル(Germknödel)は、発酵生地でプラムの濃い餡を包み、蒸したりゆでたりする大きな団子です。オーストリアのウィーン料理で親しまれる温かい甘味です。皿いっぱいに盛られた半球形の団子を割ると、白い生地の中から濃い色のポヴィドルが現れます。
発酵生地の中にプラムを包む
ウィーン観光局が紹介する配合では、酵母をぬるい牛乳に溶き、小麦粉や砂糖と混ぜて発酵させます。卵とバターを加えて練った生地を休ませ、薄く延ばして四角に切り、中央にポヴィドルを載せて包みます。包んだ後にも発酵させることで、生地はふくらみます。
この作り方では、広い鍋の塩湯でふたをしてゆで、途中で裏返します。取り出したら溶かしバターをかけ、挽いたけしの実と粉砂糖を散らします。ゆでるほか、湯の上に置いた蒸し器で蒸す作り方もあります。火を通した生地は柔らかく、中の果実の餡は、皿の上で団子を割ると現れます。
ポヴィドルはプラムを長く煮詰めた濃いペーストです。生地の中に少し包み、口に運ぶと、けしの香りやバターのこくに果実の甘酸っぱさが重なります。大きさのため、デザートだけでなく一皿の食事として供されることもあります。
ウィーンとボヘミアに伝わる団子料理
オーストリアには、小麦の生地を使うものや、パン、じゃがいも、クワルクを使うものなど、さまざまなクネーデルがあります。甘い果実を包んだ団子にも幅があり、ゲルムクネーデルは酵母でふくらむ生地とポヴィドルの組み合わせが特徴です。
オーストリア農業省の資料は、18〜19世紀にボヘミア出身の料理人たちがウィーンの家庭で働き、甘い果実の団子を含む料理を伝えたと紹介しています。ウィーンとボヘミアに共通する団子の文化を考える手がかりですが、それだけで現在のポヴィドル入りゲルムクネーデルの発明者や成立時期を決めることはできません。
ウィーン式のバターとけしのほか、バニラソースを添えるものも見られます。オーストリアのメーカーには、ポヴィドルのほかブルーベリーやチェリーの具を詰めた冷凍品もあります。家庭で生地の発酵から手がけるものも、出来上がった品を温めて供するものも、今の食卓に並びます。
用語解説
- ゲルム
- オーストリアのドイツ語で酵母を指す言葉。
- ポヴィドル
- プラムを煮詰めて作る濃い果実ペースト。
- クワルク
- 乳を酸で固めて作る、やわらかなフレッシュチーズ。







