Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ケレビチ
Kerebiç
ケレビチの材料と製法
焼き菓子 / トルコ・メルスィン

ケレビチ(Kerebiç)は、トルコ南部で作られる、木の実の餡を生地で包んだ焼き菓子です。メルスィンでは、焼いた菓子に白い泡をたっぷり添え、好みでシナモンを振ります。ひと口にすると、ほろりとした生地の中から、ピスタチオやくるみの餡が現れます。

木の実を包み、白い泡を添える
外側の生地にはセモリナを使います。メルスィンでは、チョヴェンという植物の根を煮出して白い泡を作り、焼き色の淡い菓子を覆います。トルコ文化観光省が紹介する作り方では、根を一晩水に浸してから長く煮出し、液を泡立てて砂糖を加えます。
メルスィンの地理的表示で定められた作り方では、生地を手のひらで丸めて中をくぼませ、粗く挽いたピスタチオかくるみを詰めて薪窯で焼きます。食べる前に泡を菓子が隠れるほどかけます。


地域で異なる生地と、泡や粉砂糖の仕上げ
同じケレビチでも、土地によって生地と供し方が異なります。ハタイ、ガズィアンテプ、キリスでは生地に砂糖や膨張剤を加える例があり、キリスやガズィアンテプでは粉砂糖をまぶして供します。メルスィンで登録された形式の生地には砂糖を加えず、少量のペクメズを焼き色のために使います。甘みの中心は供する際の泡です。ハタイではナティフと呼ばれる泡を添えるなど、皿の上の姿も変わります。
ラマダンの菓子から町の味へ
メルスィンでは、1940年代にアラブ系の菓子職人の家族がラマダンとその後の祝祭に作り、手押し車で売っていたと伝えられます。その後、季節に限らず作られるようになりました。1978年から作り続ける店の経営者ズルキュフ・タシュさんは、他の町からも注文が届き、一年を通じて食べられるようになったと2019年に話しています。同じ取材では職人イティダル・ポラトルオールさんが、朝早くから工房で支度をする日々を語りました。地域の製法は一つに固定されているわけではなく、メルスィンの作り手への調査でも、配合や焼き方に違いがみられます。
用語解説
- セモリナ
- 小麦を粗くひいた粉。
- チョヴェン
- 根を煮出し、泡を作るために用いる植物の呼び名。
- ナティフ
- ハタイでケレビチに添える泡状の甘いもの。
- ペクメズ
- 果汁を煮詰めた濃い甘味料。
- ラマダン
- イスラム暦の断食月。
- ズルキュフ・タシュ
- メルスィンの菓子店の店主。
- イティダル・ポラトルオール
- メルスィンの菓子職人。







