Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ヴァトルーシュカ
Vatrushka
くぼみを作って焼く
発酵菓子 / ロシア・ウクライナなど

丸いパンの真ん中のくぼみに、白いチーズを詰めます。ヴァトルーシュカは、ふっくらした生地の上に詰め物を見せたまま焼く、東ヨーロッパの焼き菓子です。ひと口かじると、焼けた縁の香ばしさと、柔らかなチーズの酸味が一緒に広がります。
くぼみを作って焼く
酵母で膨らませた生地を小さく丸め、少し休ませてから中央を押し、くぼみを作ります。ここにトヴァロークを砂糖や卵と混ぜた餡を入れ、縁に卵を塗って焼きます。焼くと周囲はふっくらと色づき、中央の餡は表に見えたままです。生地の輪が、柔らかな詰め物を受け止めます。
トヴァロークは水分を切ったフレッシュチーズです。裏ごしして粒を整え、スメタナを少し加えるレシピもあります。生地の中央を十分に押さえることも大切です。浅いくぼみでは、焼く間に生地が膨らんで餡を押し出してしまうことがあります。レーズンや果実を加えた甘いもののほか、玉ねぎを添えた甘くないものも作られます。
小さく焼き、一つずつ手に取れる形で供されることもあります。
料理書に残る姿
エレーナ・モロホヴェツの料理書の1901年版には、チーズに卵、少量の砂糖とスメタナを混ぜた餡を使うルセット(材料の配合と作り方)が載っています。丸く薄く延ばした生地に餡をのせ、縁をつまんで中央を開けたまま焼きます。生地には酵母を使うもののほか、スメタナ入りのさっくりしたものも挙げられています。現在の小さな酵母パンに限らず、似た名の、餡を見せて焼く菓子には生地も餡もさまざまな例があります。果物のジャムをのせるものも、食事に添えるものもあります。
名前の由来には「火」や「炉」に結びつける説、チーズを指す語から来たとする説などがあり、一つに決まっていません。乳の餡を生地で包まず見せる形は、甘いものと食事向けのものに共通します。
用語解説
- トヴァローク
- 乳を固めて水分を分けた、柔らかなフレッシュチーズ。
- スメタナ
- 東ヨーロッパで親しまれる、酸味のある発酵クリーム。
- エレーナ・モロホヴェツ
- ロシアの料理書著者。1901年版の料理書にヴァトルーシュカのルセットを記した。
- ルセット
- 材料の配合と作り方。







