Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

カルバヨネス
Carbayones
カルバヨネスの材料と製法
タルト / スペイン、アストゥリアス州オビエド

カルバヨネス(Carbayones)は、スペイン北部アストゥリアスのオビエドを代表する小菓子です。舟形のパイ生地にアーモンドの具を詰めて焼き、卵黄の層と薄い砂糖衣を重ねます。軽い層をなすパイ生地の内側には、木の実の濃い味わいがあり、表面はつややかです。

舟形のパイに重ねる味
オビエドの老舗カミロ・デ・ブラスでは、バターの折り込み生地に、砂糖、卵、マルコナ種のアーモンドを合わせた具を詰めて焼きます。焼き上がった菓子には、まず卵黄の層をかけ、その上を薄い糖衣で覆います。店の職人は、糖衣が冷えて結晶化する前に手早くかけるといいます。薄い膜が卵とアーモンドの味を覆い隠さないように仕上げます。


作り方には違いがあります。アストゥリアスの料理を集めた資料の一例では、薄く延ばしたパイ生地を小さな型に敷き、底をフォークで刺して、ひいたアーモンドに卵黄、レモンの皮、ラム酒または甘口ワインを合わせた具を詰めます。焼いたあと型から外して卵のクリームを塗り、乾かしてから、レモンと粉砂糖を使う白い糖衣をかけます。具を包む皮、卵の層、最後の糖衣は別々の工程で整えられます。
菓子の名になった木
アストゥリアス語でオークを意味するカルバユから、カルバヨンという名が生まれました。かつてオビエドのウリア通りには、人々に「エル・カルバヨン」と呼ばれた大きな樫の木がありました。この名はオビエドの住民の愛称にもなり、菓子にも受け継がれています。町の人々が木につけた呼び名が、小さなパイの名になったのです。
オビエドの地誌事典によると、1914年にホベリャーノス通りの店を任されたホセ・デ・ブラスは、1924年にヒホンで開かれるアストゥリアスの見本市に向け、町を代表する菓子を職人ホセ・グティエレスに依頼しました。別の料理資料はカミロが作ったと紹介しており、成立をめぐる説明は一致していません。
アストゥリアスでは、くるみやヘーゼルナッツを包むカサディエリェスも知られます。カサディエリェスの一例は、木の実の具を生地で包んで揚げ、砂糖を振って仕上げます。カルバヨネスはアーモンドの具をパイ生地に詰めて焼き、卵黄と糖衣を重ねる菓子です。同じ地域の木の実を使う甘い菓子でも、口に入る皮や仕上げはそれぞれ違います。
用語解説
- ホセ・デ・ブラス
- オビエドの店を営み、見本市向けの菓子を依頼したと伝えられる人物。
- ホセ・グティエレス
- その依頼を受けて菓子を作ったと地誌事典に記される職人。
- 折り込み生地
- 生地にバターを重ねて折り、焼いたときに層を作る生地。
- マルコナ種
- スペインで栽培されるアーモンドの品種の一つ。
- 糖衣
- 砂糖を用いて菓子の表面にかける薄い衣。







