Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

フロドニ
Flódni
フロドニの材料と製法
パイ / ハンガリー、ブダペストのユダヤ文化

フロドニ(Flódni)は、ハンガリーのユダヤ人の家庭に受け継がれる、具を何層にも重ねた菓子です。薄い生地の間に、けしの実、くるみ、りんごなどをそれぞれ広げます。プラムのジャムを加える形もあり、切り口には、色も香りも異なる具の層が現れます。


それぞれの具を整えて重ねる
ある家族のルセットでは、挽いたけしの実を牛乳と砂糖で煮て、塗れる固さまで濃くします。くるみも細かく挽き、りんごはすりおろして水分を絞ります。生地をのばして型に敷き、具と生地を交互に重ねて焼きます。りんごの余分な水を絞るのは、下の生地が濡れすぎるのを防ぐためです。
家庭の例には、けし、くるみ、りんごの三種類を使い、仕上げにあんずジャムを塗るものもあります。別の店ではプラムジャムを層に加えます。層の数や順番には、それぞれの家の作り方が表れます。
祝いに分ける菓子
ユダヤ人の祭りプリムに、家族や近所へ分ける菓子として作られてきました。ある家族の記憶には、母が前日に焼き、皿に包んで人々へ届けた場面が残ります。贈るための菓子を用意するには、何種類もの具を別々に整えて重ねる手間もかかります。
1935年の料理書と、菓子店に受け継がれるフロドニ
ハンガリーのユダヤ文化を紹介する資料は、1935年のコーシャ料理書のレシピを伝えています。五枚に分けた生地の間に、けし、りんご、くるみ、プラムジャムを順に重ね、上の生地に切り込みを入れて卵を塗り、よく焼く作り方です。すりおろしたにんじんの甘い層を加える別案も添えられています。
ハンガリーの作り手の中には、発酵生地を薄く延ばし、四種類の具を重ねて焼く店もあります。家庭で贈り物にした菓子は、菓子店の切り分けた一品としても受け継がれています。

用語解説
- プリム
- ユダヤ教の祭り。食べ物を贈り合う習慣がある。
- コーシャ
- ユダヤ教の食事規定に合うこと。材料の選び方や組み合わせに関わる。
- ルセット
- 材料の配合と作り方。







