Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

ミカド・トルテ
Mikado tort
ミカド・トルテの材料と製法
ケーキ / アルメニア

ミカド・トルテ(Mikado tort)は、薄く焼いた生地を何枚も重ね、チョコレートや煮詰めた練乳のクリームを挟むアルメニアのケーキです。切り口には薄い生地とクリームの線が交互に現れ、表面には削ったチョコレートを飾ります。

薄い生地を重ねて休ませる
生地にサワークリームを混ぜ、何枚にも分けて薄く延ばし、一枚ずつ焼きます。冷ました層の間にクリームを塗って重ね、時間を置くと、焼きたての薄い生地がクリームの水分を吸い、切り分けやすくなります。高さを出すために厚いスポンジを一度に焼くのではなく、薄い生地を何枚も用意することで、断面に細かな層ができます。
あるアルメニア語の家庭向けルセット(材料の配合と作り方)では、クリームにバターと煮た練乳を使い、溶かしたチョコレートを加えます。生地を薄く焼き、重ねてから少なくとも一日置くとしています。モスクワのアルメニア博物館が紹介する例では、サワークリーム入りの薄い層にチョコレートのカスタードクリームと煮た練乳を合わせます。クリームの作り方は一つではありません。


新年の食卓と名前
ミカドは新年の食卓を飾る菓子としても紹介されています。アルメニア語の家庭向け記事では、ガタやバクラヴァ、ナポレオンなどとともに食卓に並び、家ごとに味や見た目が違うと記されています。薄い生地を何枚も焼き、前もって重ねておけば、客を迎えるころにはクリームがなじんだケーキを切り分けられます。
隣国ジョージアのクサニ渓谷にも、ミカドと呼ぶ層菓子の家庭の作り方が紹介されています。料理人ジョルジ・チュルハゼさんが、テア・パヴリアシュヴィリさんの家で親しまれてきた菓子をもとに示した例では、生地を薄く焼き、乳と砂糖を煮詰めたクリームを挟みます。同名の菓子や日本語に似た響きだけでは、菓子の来歴や日本との関係は定まりません。
用語解説
- サワークリーム
- 乳酸菌で発酵させた、酸味のあるクリーム。
- 練乳
- 乳を濃縮したもの。砂糖を加えたものは加熱で色と風味が変わります。
- ジョルジ・チュルハゼ
- ジョージアの家庭の菓子を紹介する料理人。
- テア・パヴリアシュヴィリ
- 紹介された菓子が親しまれてきた家庭の持ち主。







