Sweetlore世界のお菓子図鑑(534)

プレクムルスカ・ギバニツァ
Prekmurska gibanica
プレクムルスカ・ギバニツァの材料と製法
パイ / スロベニア、プレクムリェ

プレクムルスカ・ギバニツァ(Prekmurska gibanica)は、スロベニア北東部プレクムリェの、層を重ねた菓子です。けしの実、フレッシュチーズ、くるみ、りんごの四つの具を、薄い生地で区切りながら二度ずつ重ねて焼きます。切り口には黒、白、茶、淡い果実の層が現れます。


四つの具を二度重ねる
作り方の一例では、底生地の上に薄いフィロ生地を敷き、まずけしの具を広げます。次にチーズ、くるみ、りんごの順に、それぞれ生地を挟んで重ね、同じ順序をもう一度繰り返します。各層にはクリームや油脂をかけます。薄い皮が具を区切るため、焼いた後も層ごとの味と色が分かります。
スロベニア政府が紹介する保護名称の作り方では、底には歯切れのよい生地を使い、その上の具を薄く延ばした生地で区切ります。最後の皮には卵黄を混ぜたクリームをかけるか、油脂を塗ります。
けしとくるみの粒の香り、チーズの乳の味、りんごの酸味を交互に味わえます。多くの層を準備するのに手間がかかるため、土地では祝いの菓子としても大切にされてきました。ひと切れが厚いのは、四つの具を二度繰り返しているためです。

地域の祝いと伝統の保護
スロベニアの保護名称の仕様書は、1828年のヨジェフ・コシッチによる地域の暮らしの記述を紹介しています。婚礼の席に欠かせないギバニツァとして、薄い生地に刻んだキャベツやかぶ、フレッシュチーズを重ね、焼いて三角形に切り分ける作り方が記されています。そこで紹介される野菜やチーズの取り合わせは、今日の四種類の甘い具とは異なります。
2010年には、この名前がEUの「伝統的特産品保証」として登録されました。これは製法や材料の伝統を守る制度で、指定された地域内に製造を限る地理的表示とは仕組みが異なります。
プレクムリェの食文化を守る団体は、ムルスカ・ソボタで地元の生ハムとギバニツァの祭りを開き、試食や作り方の実演を行っています。家庭で受け継がれた手順は、人が集まる場でも紹介されています。
用語解説
- ヨジェフ・コシッチ
- 19世紀にプレクムリェ地方の暮らしを記録した聖職者。
- フィロ生地
- 薄くのばした生地。具の間に挟んで焼く。
- 伝統的特産品保証
- 伝統的な原材料や製法を守るEUの制度。生産地を限定する制度とは異なる。
- プレクムリェ
- スロベニア北東部の地域。菓子の名はこの土地を示す。







